セッション情報 一般演題

タイトル 139:

肝機能異常が発見のきっかけとなった巨大肝嚢胞の1例

演者 土佐 正俊(大阪府済生会 吹田病院 内科)
共同演者 島 俊英(大阪府済生会 吹田病院 内科), 冨田 真世(大阪府済生会 吹田病院 内科), 小泉 祐介(大阪府済生会 吹田病院 内科), 谷野  眞通(大阪府済生会 吹田病院 内科), 笹部  真人(大阪府済生会 吹田病院 内科), 坂本 健一郎(大阪府済生会 吹田病院 内科), 水野  雅之(大阪府済生会 吹田病院 内科), 水野  智恵美(大阪府済生会 吹田病院 内科), 胡井  智(大阪府済生会 吹田病院 内科), 小畑 寛純(大阪府済生会 吹田病院 内科), 塩見  毅彦(大阪府済生会 吹田病院 内科), 朴   孝憲(大阪府済生会 吹田病院 内科), 中條 忍(大阪府済生会 吹田病院 内科)
抄録 症例は68歳女性。主訴は肝機能異常の精査加療。既往歴は40歳時に子宮筋腫にて手術、57歳頃より高血圧、精神分裂病として内服加療中である。現病歴は平成12年8月頃より、右上腹部圧迫感を自覚していた。平成13年8月、背部の粉瘤腫にて近医を受診した際に、血液検査を受け、肝機能異常を指摘された。肝機能異常の精査のために腹部CT検査を受け、肝内に巨大嚢胞を指摘され、当科紹介となる。現症は右上腹部に硬い腫瘤を触知する以外、特記すべきことなし。入院時の血液検査は、AST 217 IU/L、ALT 190 IU/L、ALP 4065 IU/L、γ-GTP 1103 IU/Lと胆道系酵素優位の肝機能異常を認めた。腹部CT検査にて肝右葉に大きさ約18cm×14cm×15cmの巨大嚢胞を認め、この嚢胞のため肝右葉は頭背側に著明に圧排され、左肝内胆管の拡張を伴っていた。肝嚢胞による胆管の圧排が原因で肝機能異常を来しているものと考え、上腹部圧迫感もあることから、肝嚢胞に対して右肋間より7Frチューブを挿入、留置した。チューブより計2500ccの排液があり、排液の性状は茶色透明であり、細胞数は20/mm3 、細菌は検出されなかった。排液後にミノマイシン500mgを3回にわたりドレナージチューブより注入した。チューブからの造影検査、腹部エコー検査では嚢胞は縮小傾向にあった。しかし、圧をかけ造影したところ、新たに造影される嚢胞腔を認め、治療不十分でチューブの位置が悪いものと考え、12Fr内瘻化チューブを留置した。その後エタノール100ccと160ccをそれぞれ注入した。肝嚢胞は造影検査上、大きさ8cm×6cmと縮小し、肝機能検査もAST 18 IU/L、ALT 16 IU/L 、ALP 748 IU/L、γ-GTP 157 IU/Lと改善した。CT検査にても嚢胞は縮小し、左肝内胆管の拡張は消失していた。その後も嚢胞の増大なく順調に経過している。本症例は肝嚢胞の胆管圧迫による肝機能異常が、肝嚢胞発見のきっかけとなった比較的まれな症例と考えられたので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝嚢胞, 肝機能異常