セッション情報 |
パネルディスカッション1(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
消化器疾患における安静時エネルギー代謝測定の意義と有用性
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タイトル |
肝PD1-4:C型慢性肝炎と栄養学的指標の関係の検討、とくにインターフェロン治療との関連について
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演者 |
市川 辰樹(長崎大大学院・消化器病態制御学) |
共同演者 |
大曲 勝久(長崎県立大シーボルト校・看護栄養学部栄養健康学科), 中尾 一彦(長崎大大学院・消化器病態制御学) |
抄録 |
【目的】近年、IL28BのSNPがC型慢性肝炎(CHCの)の治療効果に多大な影響を与えることが判明し、他にも、肥満、肝脂肪化、インスリン抵抗性など栄養関連マーカーがCHCの治療効果に影響を与えることが知られてきた。また肝硬変症では、間接熱量測定法により求められる、呼吸商は低値、安静時基礎代謝は高値になることが報告され、それが肝硬変症の予後に関係することが知られている。しかし慢性肝炎レベルでの呼吸商、安静時基礎代謝と予後との検討はない。今回我々は、宿主側の因子として栄養学的マーカーとCHCの病態の関係を調べた。【方法】2008年4月から2009年12月までに当院でCHCに対してペグインターフェロン、リバビリン併用療法(peg-IFN+R)を行った36名(男性17名)を対象とした。検討項目は、入院時のbody mass index(BMI)、体表面積、安静時エネルギー消費量(REE)、基礎代謝率、安静時エネルギー消費率(%REE)、呼吸商(npRQ)、最大酸素摂取量、体重1kgあたりの酸素摂取量、二酸化炭素排出量、75gOGTTなどの栄養学的マーカーを、HCV因子、肝機能、肝生検、peg-IFN+Rib治療効果に追加した。【成績】CHCのpeg-IFN+R治療の効果と栄養学的指標には有意なものは認めなかった。しかし、npRQ 0.85未満の群では、肝組織の炎症の程度が有意に高かった。また、血清ALT値はnpRQ0.85未満の群で異常値を呈する例が多かった。BMI25kg/m2以上の者の割合はnpRQ0.88未満の群で35%、0.88以上の群では0%であり、npRQ0.88未満群で有意に肥満者の割合が多く、空腹時インスリン値が高値を示す傾向にあった。【結論】今回の検討では、peg-IFN+Rの効果と栄養学的指標の関係は認められず、HCV側因子(血清型、ウイルス量)、IL28BSNPが大きな影響を与えていた。しかし、npRQは慢性肝炎レベルの肝障害でも、肝炎、肝機能、肥満、インスリン抵抗性に関連しており、CHCの治療効果に関連してくる可能性もある。今後症例をふやし、ひき続き検討を続行する予定である。 |
索引用語 |
HCV, npRQ |