セッション情報 |
シンポジウム2
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タイトル |
S2-5:潰瘍性大腸炎における漢方治療(温清飲)の有用性
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演者 |
北江 秀博(市立枚方市民病院 内科) |
共同演者 |
安藤 三男(市立枚方市民病院 内科), 枝川 豪(市立枚方市民病院 内科) |
抄録 |
【目的】通常、潰瘍性大腸炎の治療は厚生労働省特定疾患研究班の治療指針に基づいて治療される。しかし、軽度の血便など再燃した場合、副作用を恐れ患者が副腎皮質ステロイド剤治療を望まないことを経験する。今回、研究班の指針から逸脱するが、消化管出血に対して有効といわれる漢方治療(主に温清飲)の有用性を検討した。 【対象および方法】1980年から2002年まで当院で経験した潰瘍性大腸炎症例は116例であり、現在当院で治療中の患者は69名である。そのうち軽度の血便を訴えた場合に2001年より温清飲を追加投与した7例を対象とした。性別は男性3例、女性4例。診断時病型は全大腸炎型2例、左側大腸炎型4例、直腸炎型1例である。臨床経過型は再燃緩解型3例、慢性持続型3例、初回発作型1例である。温清飲投与までの当院における治療年数は0.1から14年で平均4.8年であり、全例に副腎皮質ステロイド剤の内服あるいは注腸療法の経験があった。評価は自覚症状の改善度で判定し、血便消失を著効、減少を有効、不変あるいは増悪を無効に3分類した。 【結果】著効2例、有効2例、無効3例であった。著効2例はいずれも左側大腸炎型で再燃緩解型と慢性持続型であった。有効の2例はいずれも全大腸炎型で再燃緩解型と初回発作型であった。無効例の1例目は左側大腸炎型で温清飲無効、GCAP無効でエカベト酸ナトリウム注腸が著効した。2例目は直腸炎型でステロイド注腸は有効であったが副作用のため中止となり、温清飲無効、エカベト酸ナトリウム注腸無効、5-ASA注腸無効であった。3例目は左側大腸炎型で温清飲無効で十全大補湯が有効であった。 【結語】1.潰瘍性大腸炎に対する温清飲投与は7例中4例が有効以上であり有用であった。2.特に副作用は認めなかったが、どのような症例に有効であるかを更に検討する必要がある。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, 漢方薬 |