セッション情報 パネルディスカッション1(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

消化器疾患における安静時エネルギー代謝測定の意義と有用性

タイトル 肝PD1-6:

肝硬変患者における呼気ガス分析計および体成分分析計を用いた安静時エネルギー消費量の測定

演者 高橋 正彦(国立東京医療センター・消化器科)
共同演者 関 佐知子(国立東京医療センター・栄養管理室), 海老沼 浩利(慶應義塾大・消化器内科)
抄録 【目的】肝硬変では蛋白エネルギー栄養不良を特徴とする栄養代謝異常が認められており栄養指導は生命予後も延長する可能性がある。適切な栄養療法には正確な安静時エネルギー消費量(REE)を元にした必要エネルギー量の把握が必要であるが現在REEの算出に広く用いられているHarris-Benedict式は年齢,性別,身長,体重のみからの推定式であり病状によっては不正確である可能性がある。一方、間接熱量計はREEを正確に測定することが可能であるが簡易となったとはいえ装置は高価で患者へのストレスも大きいことが指摘されている。呼気ガス分析計(MedGem)は炭酸ガス排出量を測定せず呼吸商を0.85として酸素摂取量のみからREEを算出する簡便な測定機である。今回我々は肝硬変患者に対しMedGem及び体成分分析計(InBodyS20)を用いてREEを測定し、Harris-Benedict式からの推定値と比較して測定の意義と問題点について検討した。【方法】対象は身体測定とともにMedGem及びInBodyS20での測定が可能であった年齢24-84歳の肝硬変患者75例(C型56例,B型3例,アルコール性6例,非B非C型10例)であり、MedGemとInBodyS20から安静時代謝量を算出した。【成績】1)全患者でのREEはHarris-Benedict 1218.3±208.3kcal, MedGem 1238.2±346.9kcal, InBodyS20 1243.8±198.6kcalであり、Harris-BenedictとInBodyS20は強い相関(r=0.877)があるが、MedGemとの相関(r=0.560)は中等度であった。またMedGemとInBodyS20との相関(r=0.537)も中等度であった。2)Child A,B,C症例別でのHarris-BenedictとMedGemとの相関はr=0.433, r=0.753, r=0.953であり、Harris-Benedict推定式とInBodyS20との相関はr=0.838, r=0.939, r=0.977であった。【結論】Harris-Benedict推定式、MedGem、InBodyS20でのREEの相関は良好であった。今回用いたMedGem及びInBodyS20は測定が簡便であり、肝硬変の正確なREE評価に十分有用であると考えられた。
索引用語 肝硬変, 栄養療法