セッション情報 |
パネルディスカッション1(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
消化器疾患における安静時エネルギー代謝測定の意義と有用性
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タイトル |
外PD1-10:組織酸素代謝を利用した、敗血症性ショックの新しい初期輸液療法―Early Goal-Directed Therapyと下部消化管穿孔の治療戦略―
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演者 |
小豆畑 丈夫(日本大・救急集中治療医学) |
共同演者 |
木下 浩作(日本大・救急集中治療医学), 丹正 勝久(日本大・救急集中治療医学) |
抄録 |
【始めに】Shockは組織における酸素が需要>供給の状態と言い換えられる。2004年に敗血症治療のevidenceに基づく国際的ガイドラインであるSurvive Sepsis Campaign Guidelinesが制定され、その中で強く推奨されているのが、septic shockに対する初期輸液療法であるEarly Goal-Directed Therapy (EGDT)である。EGDTは組織酸素代謝の指標であるCentral Venous Oxygen Saturation (ScvO2)を重視した輸液法である。我々は、shockを伴う下部消化管穿孔症例に対して、手術終了を来院6時間以内としEGDTを基礎としたプロトコールを導入し、outcomeを改善した。【症例】導入前はH13-18年の22例、導入後はH18-20年の35例。導入前vs.後をMeanとして示す。年齢(歳): 62.2 vs. 63.3(p=0.74)、SOFA: 8.59 vs. 8.66(p=0.58)、来院時Lactate(mmol/L): 4.92 v.s.4.68(p=0.90)、輸液量(ml): 1501.3 vs. 3128.5(p<0.001)、手術終了までの時間(min): 719.1 vs. 305.9(p<0.001), 救命率(%):63.6 vs. 94.2(p=0.0047)であった。患者背景に有意差を認めず、術前輸液量増加と手術終了までの時間短縮が救命率を改善していた。プロトコール導入群を検討した。死亡3症例はいずれも来院時からScvO2が低く輸液に反応しない症例であった。また、3例の敗血症性ショックに伴う術前心肺停止症例が含まれたが、全て心肺蘇生に成功し緊急手術を行って救命した。【結果】プロトコールはshockを伴う下部消化管穿孔に対して適切な初期輸液を行って患者の循環状態を改善し、早期に感染巣をコントロールすることでその予後を改善した。【考察】EGDTは血圧・中心静脈圧・尿量・ScvO2の適正化を来院6時間以内に行う、septic shockに対する新しい初期輸液法である。それと同時にどんなに重症であっても6時間以内に感染巣コントロールを終えることが相補的に働きoutcomeが改善したと考える。今回、安静時とshock時の組織酸素代謝について概説し、プロトコールの治療効果を紹介したい。 |
索引用語 |
組織酸素代謝, 敗血症 |