セッション情報 |
パネルディスカッション2(消化吸収学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
過敏性腸症候群-消化吸収機能の側面から-
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タイトル |
消PD2-1:過敏性腸症候群(IBS) 患者のCTcolonography(CTC)による腸管形態評価-通過障害部位の便性状への影響-
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演者 |
水上 健(国立久里浜アルコール症センター・内科DELIMITER横浜市立市民病院・消化器内科) |
共同演者 |
鈴木 秀和(慶應義塾大・消化器内科), 日比 紀文(慶應義塾大・消化器内科) |
抄録 |
我々は無麻酔大腸鏡挿入法-浸水法-を応用し鎮痙剤により正常者の腸管運動を抑制して大腸鏡を施行すると「大腸鏡」自体の心理的負荷でIBSの遷延性腸管運動異常が惹起され下痢型のほとんどに遷延する蠕動が、便秘型 の一部に遷延する分節型運動が見出されたことを報告した【消化器心身医学2009 16(1)91-97】。その後の検討でIBS患者146例に無麻酔大腸鏡を施行したところ遷延性腸管運動異常が観察されないIBSの存在が確認され、腸管運動異常群では契機の心理的ストレスを自覚し純粋な下痢のみ・便秘のみの単一症状に対し、観察されない群では契機となるストレスを自覚せず発症契機に生活変化(結婚・出産・退職など)が多くみられ、硬便に続く大量の軟便・下痢が症状の特徴で教科書的腸管形態をとらない腸管形態異常があることが判明した【消化器心身医学 2010 17(1)33-39】。近年CTコロノグラフィーが実用化され従来困難であった腸管形態の立体的描出が可能となった。【目的】腸管運動異常が見いだされなかったIBS患者の腸管形態をCTCにより評価し病態に与える影響を検討する。【対象】無麻酔大腸鏡で腸管運動異常が観察されなかったIBS患者58名(下痢型(-D)19名、便秘型(-C)18名、混合型(-M)21名)【方法】無麻酔大腸鏡による病変検索・腸管運動評価を行った後に腸管内の残差と腸液を完全に除去し、自制内の送気で腸管を拡張させてCTを撮影し腸管形態を部位別に評価する。【結果】S状結腸の形態異常はIBS-D 14/19,-C 13/18.-M 17/21、下行結腸の固定不良はIBS-D 17/19,-C 13/18.-M 15/21、横行結腸の形態異常はIBS-D 2/19,-C 7/18.-M 4/21に認めた。【考察】腸管運動を認めないIBS患者では高頻度に腸管形態異常を認めた。下痢型は他の病型に比し口側での腸管形態異常と腸管拡張を認め大腸での水分吸収が排便性状に影響を与えている可能性が考えられた。実際の症例を含め提示する。 |
索引用語 |
浸水法, IBS |