セッション情報 |
パネルディスカッション2(消化吸収学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
過敏性腸症候群-消化吸収機能の側面から-
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タイトル |
消PD2-4:過敏性腸症候群における食物アレルギーの関与
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演者 |
千葉 俊美(岩手医大・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
久多良 徳彦(岩手医大・消化器・肝臓内科), 鈴木 一幸(岩手医大・消化器・肝臓内科) |
抄録 |
過敏性腸症候群(IBS)の下痢型では便秘型と比較して血清MCP-1が高値で、ポリカルボフィル製剤投与後において高感度CRP値の低下を認めIBSと微少炎症との関与を報告した(Chiba T, et al. Hepato-Gastrienterol, in press)。【目的】IBS患者における食物アレルギーの関与について検討した。【対象】下痢型IBS患者38例(男性16例、女性22例;平均年齢39.5±21.2歳)を対象とした。そのうち、20歳未満は10例(男性2名、女性8例;平均年齢17.3歳)、20歳以上は28例(男性14例、女性14例;平均年齢47.5歳)であった。アレルギー疾患を有する患者数は、20歳以上群で5例、20歳未満では6例であった。また、コントロール群として13例(男性5例、女性8例;平均年齢40.0±22.3歳)を対象とした。【方法】食物10品目として、卵白、卵黄、ミルク、豚肉、牛肉、エビ、小麦、米、ソバ、大豆に対する血清抗体価を測定し、同時に血清IgE値を測定した。【結果】食物抗体価:IBS群5例で食物血清抗体価が陽性を示し、陽性品目数は4品目3例、1品目2例であった。陽性品目数が4品目であった3例はすべて20歳未満であった。コントロール群では2例で血清抗体価が陽性を示し、陽性品目数は4品目1例、2品目1例であった。血清IgE値:IBS群全体の血清IgE値は302.4±534.8 IU/mLで、そのうち、20歳未満で661.0±736.3 IU/mL、20歳以上では72.0±65.1 IU/mLであった。コントロール群の血清IgE値は272.5±402.8 IU/mLで、そのうち、20歳未満で481.0±487.4 IU/mL、20歳以上では203.0±376.8 IU/mLであり、IBS群の20歳未満がIBS群の20歳以上と比較して有意に血清IgEが高値であった(p<0.05)。IBS群のアレルギー疾患併存の有無による検討では、血清IgE値に有意差は認めなかった。血清IgE値と陽性品目数との関連を検討すると、血清IgE値が高い群で陽性品目数が多い傾向を認めた(r=0.70, p<0.05)。【結論】下痢型IBSの病因のひとつとして食物アレルギーの関与が示唆され、特に若年者では原因となる食物の調節が症状に対して有効であると考える。 |
索引用語 |
過敏性腸症候群, 食物アレルゲン |