セッション情報 パネルディスカッション3(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

肝胆膵がん検診における検診施設と2次検査施設の連携

タイトル 消PD3-1:

肝癌2次検診におけるEOB造影MRIの有用性についての検討

演者 今井 康陽(市立池田病院・消化器内科)
共同演者 井倉 技(市立池田病院・消化器内科), 村上 卓道(近畿大・放射線診断学)
抄録 【目的】わが国のC型肝炎患者の高齢化に伴い肝細胞癌(HCC)患者も高齢化し、肝癌2次検診においてより非侵襲的な診断法が望まれる。今回肝癌2次検診におけるEOB-MRIの有用性について検討した。【方法】1)組織学的に診断した乏血性HCC27結節、CTHA・CTAPにて診断した多血性HCC52結節おいてEOB-MRI肝細胞相とSonazoid造影US Kupffer phaseの検出率を比較した。2)組織学的に診断した乏血性HCC18結節おいてEOB-MRIとCTAPの検出率を比較した。3) CTHA・CTAPにて診断した多血性HCC67結節を対象にAFROC解析によりEOB-MRIとMDCTの診断能を比較した。4)EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈する乏血性結節で、2回以上のEOB-MRIで経過を追えた150結節を対象とし多血化率を算出した(平均観察期間373日)。【結果】1) Sonazoid造影US Kupffer phase とEOB-MRI肝細胞相との比較で、多血性HCC52結節中 Sonazoid造影US Kupffer phaseで89%、EOB-MRI肝細胞相で96%を検出しえた。乏血性HCC 27結節で造影US Kupffer phaseで検出しえたのは3結節で、EOB-MRI肝細胞相では25結節であった。2) 乏血性HCC 18結節でCTAPにて低吸収を示したのは6結節であったのに対し、EOB-MRI肝細胞相での低信号は16結節であった。3) 多血性HCC 67結節におけるEOB‐MRIとMDCTのAFROC解析Az値は0.82vs.0.69(P<0.01)でEOB-MRIが有意に高値であり、多血性HCCでEOB-MRIがMDCTより高い診断能を示した。4) EOB-MRI肝細胞相低信号の乏血性結節の多血化は45/150結節に認め、1年累積多血化率は全結節で27.7%、増大傾向を示す結節では37.4%であった。【考察および結論】多血性HCCにおいてEOB-MRIはMDCTより高い診断能を有し、乏血性HCCにおいてはCTAPより高い検出率を示した。また、EOB‐MRI肝細胞相もSonazoid造影US Kupffer phaseより高い検出率を示した。一方、EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈する乏血性結節の多血化は高率で、肝癌である特異性は高いと考えられた。以上の結果より、EOB‐MRIは肝癌2次検診において有用であると考えられた。
索引用語 EOB造影MRI, 肝細胞癌