抄録 |
【目的】膵・胆道癌は,画像診断法の進歩した現在においても予後不良であり,検診での早期発見が予後の向上に重要である.今回,精検施設として位置づけられる当センターでの小膵癌(pTS1)と早期胆道癌の発見契機,画像診断能,治療成績についてretrospectiveに検討した.【方法】1997年5月から2010年11月までに切除したpTS1膵癌36例(Stage I;9,II;2,III;21,IV;4),早期胆管癌13例(m;5,fm;8),早期胆嚢癌20例(m;18,mp;2)を対象とした.検討項目は1:発見契機,2:危険因子の有無,3:画像診断能,4:再発と予後,とした.【成績】pTS1膵癌;1:有症状が50%(18/36),他疾患経過観察中が31%(11/36),検診が19%(7/36) .2:糖尿病36%,慢性膵炎11%,IPMN 19%.3:直接腫瘤描出率はUS 60%,CT 86%,EUS 100%.MDCT導入後は,膵実質相,門脈相,遅延相の3相撮像を行い,膵実質相での低吸収域の指摘が83%(25/30)であったのに加え,遅延濃染を80%(24/30)に認め,これらを合わせた直接腫瘤描出率は93%であった.間接所見の指摘はUS 97%,CT 100%であった.4:再発を16例に認め,予後は3年生存13例,5年生存6例,死亡は17例.早期胆管癌;1:有症状が85%(11/13),そのうち黄疸が54%(7/13),他疾患経過観察中が15%(2/13) .2:膵胆管合流異常15%.3:腫瘍肉眼型は乳頭型10例,平坦型2例,結節型1例であり,直接腫瘤描出率はUS 31%,CT 77%,EUS 92%.4:再発を3例に認め,予後は3年生存6例,5年生存3例,死亡は5例.早期胆嚢癌;1:有症状が30%(6/20),検診が20%(4/20),他疾患経過観察中が20%(4/20),術後病理で発見が30%(6/20) .2:膵胆管合流異常10%,胆石60%,胆嚢腺筋症35%.3:腫瘍肉眼型はIp 7,Isp 1,IIa 9,IIb 3であり,直接腫瘤描出率はUS 55%,CT 65%,EUS 65%.4:再発を2例に認め,予後は3年生存6例,5年生存3例,死亡は4例.【結論】膵・胆道癌の早期発見には,USでの間接所見,血液検査にて肝機能異常・黄疸・DMの悪化などの指摘のほか,癌危険因子の有無のチェックが重要である,精検施設においては積極的にMDCTによる3相撮像に加え,EUSを行う必要がある. |