セッション情報 パネルディスカッション3(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

肝胆膵がん検診における検診施設と2次検査施設の連携

タイトル 消PD3-5:

2次検査施設における超音波検査を中心とした膵癌の早期発見の診断体系

演者 金森 明(大垣市民病院・消化器内科)
共同演者 熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科), 桐山 勢生(大垣市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】膵臓癌において、根治的治療の選択、予後改善のためには早期発見は最も重要な因子の一つと考えられる。膵臓癌の早期発見のためには検診施設との連携は益々重要となっている。当院では2次検査施設として超音波検査を中心としたこれらの画像診断における20mm以下の小膵癌診断における検討を行った。【対象、方法】対象は1986年1月~2011年2月までに当院にて診断された膵臓癌719例(男:女442:277)、使用診断機器により1986年~95年(P1)と1996年以後(P2)の2期に分けた。診断法はP1期ではCT、US、ERCPを用いP2期ではこれらに加え造影超音波検査(CE-US)、multidetector-row CT(MD-CT)、EUSを使用した。また膵癌に対する治療別成績を検討した。【成績】1)膵癌719例(腫瘍サイズ:T1:TS2:TS3:TS4:TSx; 73:329:151:61:105)のうちT1(周囲に浸潤のない20mm以下の小膵癌)の症例は19例であった。(P1:P2;4:15)(頭部:体尾部;5:14)(平均径12.7mm、8-19mm)。このうち検診施設を含めた紹介が9例(P1:P2;2:7)であった。紹介施設のうち膵管拡張をUSで指摘されたものが5例で嚢胞を指摘されたものが2例であった。全例に外科的切除が施行された。P2期では膵管拡張、嚢胞等の間接所見をほぼ全例に認めたが腫瘍自体を指摘できない症例を認めた。腫瘍の検出感度はP1(US:CT、50:50%)P2(US:CT:EUS、67:74:93%)であり、EUSが優れていたが、P2期ではUSで84%に間接所見の拾い上げが可能であった。主膵菅拡張、嚢胞の合併、いずれの所見もみられないものは1例であった。経過を追跡しえた2006年以降の治療法別の成績は生存期間中央値(MST)でBSC群2.1ヶ月、化学療法群6.8ヶ月、T1を除いた手術群で13ヶ月であった。T1群は3年生存率67.4%、5年生存率57.8%であり5年以上生存した症例の原病死は認めなかった。【結論】機器の進歩により膵癌の診断能は向上していたが、特に間接所見ではUSでの拾い上げの割合が増加しておりT-stageの評価では特にMD-CT、EUS、を診断体系に加えることにより成績の向上が得られた。
索引用語 膵臓癌, 早期発見