セッション情報 パネルディスカッション3(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

肝胆膵がん検診における検診施設と2次検査施設の連携

タイトル 検PD3-6:

健診による膵癌高危険因子(膵嚢胞・主膵管軽度拡張)の検出:超音波検査と低線量非造影CTとの検出能の比較

演者 田中 幸子(大阪府立成人病センター・検診部)
共同演者 高倉 玲奈(大阪府立成人病センター・検診部), 井岡 達也(大阪府立成人病センター・検診部)
抄録 【目的】膵癌は早期診断困難であり高危険群に対する慎重な経過観察が勧められている。我々は前向き試験により膵嚢胞(5mm以上)および主膵管の軽度拡張(膵体部で2.5mm以上)がそれぞれ独立した膵癌の高危険因子であり、両所見を併せ持つ人の膵癌罹患リスクは27.5倍、5年累積膵がん罹患率は5.6%であることを報告してきた(Radiology 2010)。これらの高危険群を健診の場で検出することが望ましいが、超音波では描出不十分なことも多いとの認識で非造影CT検査を行っている施設も少なくない。今回、超音波検査と低線量非造影CTとによる膵管拡張、膵嚢胞の検出能の比較を行った。【対象と方法】2009年4月より2010年12月末までの21ヶ月間に当院人間ドックを受診し、非造影低線量CT検査(肺のCTの撮影範囲を膵が含まれるまで拡張)および膵精密超音波検査(座位、胃充満法)を受けた544例(男346、女198、年齢29-88、平均64.1歳)である。いずれかの検査で主膵管拡張あるいは膵嚢胞を指摘した109例に対してMRCPあるいは造影MDCTにより最終評価し両所見の検出精度について比較検討した。【成績】5mm以上の嚢胞はUSにて56例、CTにて21例に指摘され、MRCPなどによる評価の結果、感度、特異度、OAはそれぞれ、USでは96%, 94%, 95%, CTでは33%, 94%, 63%と特に感度においてUSが優れていた。USで真陽性であった53例についてのCTの検出率は、5-10mmの嚢胞で17%、20mm以上では83%であった。また、膵体部でのMPDの描出はUSでは全例で可能であり、2.5-3mm:32例、3-5mm:32例、5mm以上が3例であった。CTではMPDは3mm以上の4例で検出可能であった。USでは40例(7.3%)で膵描出不十分とされた。なお、対象中の進行膵がん1例は、USでは尾側膵管拡張を伴う低エコー腫瘤像、CTでは膵頭部腫大のみの所見であった。【結論】CTに関しては低線量、非造影という制約を課しての比較であるが、膵癌高危険因子の検出能はUSが優位であった。
索引用語 膵がん高危険群, 超音波