抄録 |
【目的】県内の検診施設から超音波検査で要精密検査と判定され、精検施設に紹介された受診者動向、受診状況、受診結果の報告連携について報告する。また県内における肝癌に対する取り組み、病院、患者、検診施設との連携について報告する。【方法】超音波検診受診者を対象にその後の動向、結果の把握状況について報告する。【結果】人間ドック、巡回検診で要精密検査と判定された方への精検依頼状を発行し、精検結果を把握するようにしている。H21年度人間ドック腹部超音波受診者は21,206名のうち要精検者は296名、返信率201名、後日連絡を95名(32.1%)に実施し、すでに受診済み、32例、連絡後の受診6名(9.5%)、精検受診者数合計は239名となり精検受診率は80.7%であった。また癌発見数(率)は16例(0.08%)であった。特に緊急性の高いH21年度発見膵臓癌の8例中4例が手術を実施され、発見から手術までの日数の平均は54日であった。緊急追跡受診者を含め癌症例の早期受診を促す努力は重要と考える。また肝臓癌に関しては、早期発見されても生存率の改善には限界があり、ウイルスマーカーからあるいは、開業医との連携、精検施設への紹介によるY-PERS(GF)(山梨ペグインターフェロンα2b+リバビリンスタディwith Genome and Fibrosis)ネットワークにより、早期治療、癌発症の抑制に努めている。 さらに慢性疾患診療支援システム研究会(NPO法人)を立ち上げ、肝疾患をはじめ、糖尿病、眼疾患(緑内障)、耳疾患、などの会員に検査結果、投薬状況などをインターネットで患者、開業医、精検機関を通じ共有できるシステムを実施している。医療機関の連携のみならず、患者の疾病に対する理解力向上にも有用と思われる。【結論】早期診断、早期治療に検診機関として心がけ、さまざまな連絡方法やシステムの構築により精検機関との連絡を密にとり、超音波検診の有用性を高めていく努力を続ける必要がある。 |