セッション情報 パネルディスカッション3(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

肝胆膵がん検診における検診施設と2次検査施設の連携

タイトル 検PD3-10:

腹部超音波検診における精密検査に関する検討

演者 小野寺 博義(宮城県立がんセンター・消化器科)
共同演者 渋谷 大助(宮城県対がん協会がん検診センター), 岩崎 隆雄(東北大・消化器内科)
抄録 【目的】胃,大腸がん検診の場合には精密検査は内視鏡である。しかし,肝胆膵がん検診の精密検査はCT,MRI,EUS,血管造影など多岐にわたり,その選択も精度も医療機関により異なる。今回は精度の高い精検システムについて検討する。【方法】平成13から20年度に宮城県対がん協会で実施した超音波検診(受診者37,329人)の精密検査について調査した。肝胆膵の精度の高い検査を行える施設が限られるため,検診精度向上の目的で要精検とされた受診者を再び呼び出し,超音波専門医による2回目の超音波検査(2次US)を実施した後に適切な精検施設に紹介している。検査のみを依頼し,精検結果は当協会で判定し,治療が必要な場合にのみ病院に紹介している。【成績】2次US該当者は受診者総数の2.7%,2次US受診率87.3%,2次US後の精検該当者は受診者総数の1.0%,精検受診率は96.8%であった。精検や治療のため病院紹介となった人に発行した紹介状に対する返信率は93.8%であった。がん発見率は0.059%で,腎細胞がん0.027%,肝細胞がん0.013%,膵がん0.0027%,胆嚢がん0.0027%などであった。なお,超音波検診の診断精度は感度81.4%,特異度97.6%,偽陰性率18.6%,偽陽性率2.4%,陽性反応適中度3.0%,陰性反応適中度99.98%であった。疾患別の偽陰性率は腎細胞がん6.3%,肝細胞がん9.1%,胆嚢がん20.0%,膵がん55.6%であった。【結論】検診機関は精度の高い精検施設に紹介するとともに、精検結果,および精検後にどのような医療を行ったのか等を把握する体制を構築し,必要があれば再指導を行い精度向上に努めるべきである。
索引用語 腹部超音波検診, 精密検査