セッション情報 パネルディスカッション3(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

肝胆膵がん検診における検診施設と2次検査施設の連携

タイトル 検PD3-11:

腹部超音波検診の成果と事後管理の重要性

演者 大竹 宏治(日赤熊本健康管理センター)
共同演者 三原 修一(日赤熊本健康管理センター), 川口 哲(日赤熊本健康管理センター)
抄録 我々は、1983年8月から人間ドックおよび集検において腹部超音波検診を行ってきた。今回、その成果および事後管理の重要性について報告する。【成績】2008年3月までの25年間の受診者数は延べ1,703,350人(実質387,725人)で、肝細胞癌393例、胆嚢癌165例、膵臓癌151例、腎細胞癌389例、膀胱癌178例など1,678例(対延べ受診者発見率0.10%)の悪性疾患が発見された。切除例は肝細胞癌87例(22.1%)、胆嚢癌149例(90.3%)、膵臓癌79例(52.3%)、腎細胞癌383例(98.5%)、膀胱癌172例(96.6%)など、転移性癌および白血病を除く1,569例中1,034例(65.9%)であった。切除例の10年生存率は肝細胞癌44.9%、胆嚢癌82.2%、膵臓癌39.4%、腎細胞癌97.4%、膀胱癌98.0%であった。また、全悪性疾患切除例の10年生存率は82.0%、25年生存率は80.0%と良好であった。特に、胆嚢癌、腎細胞癌、膀胱癌は早期発見例が多く、超音波検診が有用な癌と思われた。【事後管理の重要性】腹部超音波検診における25年間の要精検率は1.76%、精検受診率は83.5%であった。がん検診の精検受診率をさらに強化する目的で、平成21年度からは人間ドックにおいて、癌が疑われる症例および緊急を要する症例は検診受診当日に精検医療機関の受診予約を行う医療連携システムを確立した。平成21年度に、このシステムによる紹介者(要精検者)は230例、精検受診者数225例(受診率97.8%)、癌症例99例(受診者の44.0%)、癌疑い症例16例(受診者の7.1%)であった。腹部超音波検査では紹介者数78例、精検受診者数77例(98.7%)、癌症例33例(受診者の42.9%)、癌疑い症例5例(受診者の6.5%)であった。効果的ながん検診を行うためには、事後管理の強化が不可欠である。【まとめ】腹部超音波検診は腹部諸臓器の癌の早期発見に有用であり、さらに普及していくことが望まれるが、その評価を高めていくためには、精度管理、特に事後管理の精度向上が不可欠である。
索引用語 腹部超音波検診, 事後管理