セッション情報 |
シンポジウム14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)
機能性消化管障害の病態と治療
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タイトル |
内S14-11:機能性胃腸症と胃食道逆流症における上部消化管酸環境の差異
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演者 |
眞部 紀明(川崎医大・内視鏡・超音波センター) |
共同演者 |
光岡 直志(渡辺胃腸科外科病院), 春間 賢(川崎医大・消化管内科) |
抄録 |
【背景】機能性胃腸症(FD)の20~30%に胃食道逆流症(GERD)が合併するが,FDに対する胃酸分泌抑制治療効果はGERDと比較すると低い.これまでにFD患者の食道入口部から十二指腸下降脚までの各pHを同時に測定した報告はなく,またFDとGERDのpH profileを比較検討した報告もない.【目的】GERDとFDのpH profileの差異を比較検討した.【対象】当院および関連施設でディスペプシア症状を主訴に上部消化管内視鏡検査を施行した症例のうち器質的疾患が除外された174例(男性58例,平均年齢51.5才)【方法】前日の夜9時以降絶飲食の後,早朝空腹時に上部消化管内視鏡検査を左側臥位で施行した.前投薬にはジアゼパム5~10mgと塩酸ペチジン35mgの静脈注射を用い,血圧,心電図,パルスオキシメーターでモニタリングをしながら慎重に検査を行なった.その後,内視鏡観察を行ないながら,1. 食道入口部,2. 中部食道(上切歯より25cm),3. 下部食道(EGJ直上),4. 胃体部小弯,5. 胃体部大弯,6. 前庭部大弯,7. 十二指腸球部,8. 十二指腸下行脚の合計8カ所のpHを内視鏡下単チャンネルpHセンサー(ケミカル機器社製小型pHメーター PH-201Z)を内視鏡鉗子孔より挿入し測定した.上腹部症状については,各消化器症状を7-point Likert scaleを用い,検査前に患者自身から回答を得た.なお4点以上を有意な症状と定義した.【結果】対象患者は心窩部痛症候群(EPS群)106 例(男性42例,平均年齢45.7才),食後愁訴症候群(PDS群)64例(男性20例,平均年齢56.8才),GERD群78例(男性22例,平均年齢52.6才)に分類できた.GERD群は非GERD群と比較して下部食道pHが有意に低下していたが(p<0.05),EPS群では非EPS群と比較して中部,下部食道および十二指腸下行脚で有意にpHが低い結果であった(p<0.05).一方,PDS群と非PDS群間にはpHの違いは認められなかった.【結論】GERDとFDの各サブタイプ間には上部消化管pH profileに違いが認められ,酸環境が異なっていた. |
索引用語 |
機能性胃腸症, pH |