セッション情報 パネルディスカッション4(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

肝疾患動物モデルとtranslational research

タイトル 消PD4-10:

肝硬変症に対する骨髄由来培養細胞を用いた修復再生療法開発のために橋渡し研究

演者 寺井 崇二(山口大・消化器病態内科学)
共同演者 高見 太郎(山口大附属病院・検査部), 坂井田 功(山口大・消化器病態内科学)
抄録 我々は、マウス骨髄細胞を投与した肝硬変症モデル(GFP/CCl4モデル)を用いて、骨髄細胞が肝硬変症の線維化、肝機能および生存率を改善させることを明らかにし、2003年より世界に先駆け肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法(ABMi療法)の臨床研究(Phase Iから多施設臨床研究)を行ってきた。しかしながら現状のABMi療法は全身麻酔下で骨髄液を採取するため適応には限界がある。そこで、局所麻酔下に少量の骨髄液を採取し培養する次世代の治療法を開発するための橋渡し研究を進めている。初めに培養骨髄細胞の肝硬変症への効果確認のため従来のマウスモデルを用いた解析を進め、さらにヒト骨髄中の肝硬変症治療に有用な細胞スペックを決めるため、培養したヒト骨髄由来細胞を四塩化炭素で誘導した免疫不全マウスに投与する「ヒト培養骨髄細胞/NOD-SCID肝硬変症モデル」を開発した。その結果、ヒト骨髄液から約14-21日の培養で間葉系細胞を効率的に増殖させることが可能で、これには肝硬変症改善効果があることが明らかとなった。また骨髄由来培養細胞を用いた肝硬変症治療を実際に橋渡し研究として実施するためには細胞投与数や投与スピードによる毒性の有無を検証する必要があるため、ビーグル犬など大型動物を用いた実験を行うべく準備をしている。このように幹細胞を用いた再生研究を実施するためには、基礎研究時点から臨床を想定する必要があり、本研究は現在、文部科学省の橋渡し研究推進プログラムとして実施している。今回は、現在の状況を報告するとともに今後の展開について報告する。
索引用語 幹細胞, 再生療法