セッション情報 一般演題

タイトル 110:

Itraconazoleによる薬剤性肝障害の1症例

演者 東 晃一(九州大学 大学院 医学研究院 病態機能内科学)
共同演者 緒方 久修(九州大学 大学院 医学研究院 病態機能内科学), 平橋 高明(九州大学 大学院 医学研究院 病態機能内科学), 松本 主之(九州大学 大学院 医学研究院 病態機能内科学), 飯田 三雄(九州大学 大学院 医学研究院 病態機能内科学), 田口 健一(九州大学 大学院 医学研究院 形態機能病理学)
抄録 症例は62歳、女性。Hallervorden-Spatz病のため加療中であった。爪白癬に対し平成13年11月13日よりItraconazole 50mg内服を開始したところ、同20日AST 254IU/L、ALT 249IU/Lと肝障害が出現。同26日AST 1429IU/L、ALT 2490IU/Lと増悪したため、薬剤性肝障害を疑いItraconazoleを中止、ウルソデオキシコール酸及びグリチルリチン製剤投与を開始した。その後AST 294IU/L、ALT 355IU/Lと肝逸脱酵素は低下したが、T.Bil 12.8mg/dL、D.Bil 8.8mg/dLまで上昇したため、12月17日当科入院となった。リンパ球刺激試験でItraconazole陽性で、12月20日の肝生検では小葉中心性に肝細胞の壊死・脱落を認め、好酸球を含む慢性炎症細胞の浸潤を伴っていた。門脈域の炎症は軽度で、明らかな線維性拡大・胆管障害を認めなかった。Itraconazole中止40日後にはAST、ALTは正常化し、T.Bil 4.0mg/dLまで低下した。平成14年1月17日の肝生検では部分的に小葉中心性に肝細胞の壊死・脱落、或いは小葉内の巣状壊死を認めるものの、肝細胞の再生を全般に認めた。Itraconazoleによる薬剤性肝障害は稀であり、加えて肝生検所見の報告は我々の検索範囲内では2報のみと、極めて貴重な症例と考えられるので報告する。
索引用語 イトラコナゾール, 薬剤性肝障害