セッション情報 一般演題

タイトル 325:

胆嚢内分泌細胞癌の1例

演者 中村 継人(大村市立病院)
共同演者 長部 雅之(大村市立病院), 森川 俊一(大村市立病院), 赤澤 祐子(大村市立病院), 岡 六四(大村市立病院), 大谷 博(長崎大学医学部第1病理), 下川 功(長崎大学医学部第1病理), 三根 義和(大村市立病院), 村田 育夫(長崎大学薬物治療学), 河野 茂(長崎大学第2内科)
抄録 内分泌細胞性腫瘍は、消化管、虫垂、および肺に多く見られるが、胆嚢原発のものは稀である。今回、胆嚢炎を繰り返し、術前、画像上、胆嚢結石および胆嚢腫瘍を認め、胆嚢摘出術施行したところ、胆嚢の内分泌細胞癌が確認された症例を経験したので報告する。症例は、82歳の男性。前医入院中、発熱、右季肋部痛持続するため、当院へ転院。採血検査、画像上、胆嚢炎、膵炎が原因と考えられた。絶食、抗生剤治療にて症状改善した。腹部エコー、腹部CT、腹部MRCP検査にて、胆嚢癌(疑診)、胆嚢結石を認めた。手術を勧めたが、本人拒否。その後、再度、前回同様の急性胆嚢炎、膵炎症状出現し、本人手術希望されたため、手術を施行した。単純胆嚢摘出術が施行された。胆嚢の腫瘍は、胆嚢底部に、肉眼的形態分類上の塊状型、50mm x 60mm x 50mmサイズの腫瘍を認めた。組織学的には、多核巨細胞を混在した異型性、多形性の強い、癌細胞が、充実性、索状に増生し、しょう膜下まで達していた。免疫染色も行われ、synaptophysin(+) chromograninA(+,focal) cytokeratin(+) EMA(+)であり、内分泌細胞癌と診断された。胆嚢における内分泌細胞癌の組織発生については、統一的な見解は得られていないようである。内分泌細胞癌は増殖・浸潤能が高度であり、臨床的悪性度が高いと言われている。予後は不良でほとんどの症例が2年以内に死亡している。本例では、C型肝硬変も有していたため、手術侵襲を極力少なくするため、単純胆摘が施行されたが、術後、腹水出現増大し、低栄養状態となり、肝不全にて術後42日目に死亡された。
索引用語 胆嚢癌, 内分泌細胞癌