抄録 |
放射線治療を中心とした非切除治療で胃悪性リンパ腫がどれだけ治療できるか、またその場合に重篤な副作用はないかを全国の放射線治療施設で検討した。適応基準や治療法などのプロトコ-ルを作成して、それに従いMALTリンパ腫では除菌治療で効果不十分な場合に放射線単独治療で、非MALTリンパ腫ではCHOP療法後に放射線治療を行った。1995年4月から現在までに73例登録されたが、2001年3月までの6年間に登録された47例(MALTリンパ腫22例、非MALTリンパ腫25例)について検討した。MALTリンパ腫、非MALTリンパ腫とも胃とその周囲リンパ節に限局する症例が多かった(MALTリンパ腫21例95%、非MALTリンパ腫25例76%)が、10cmを越えるような大きな腫瘍をもつ症例(MALTリンパ腫4例18%、非MALTリンパ腫8例32%)が少なくなかった。年齢(75歳まで)など非切除治療のプロトコ-ルの適応基準を満たしていると考えられた40症例(MALTリンパ腫21例、非MALTリンパ腫19例)ではほぼスケジュ-ル通りの放射線治療と化学療法が可能であった。その結果、MALTリンパ腫では1例を除き全例が治療によってCRとなり生存中であり、非MALTリンパ腫でもCHOP療法と放射線治療を併用することにより、15例でCRが得られた。3年生存率はMALTリンパ腫100%、非MALTリンパ腫79.5%であった。治療中や経過観察中に重篤な合併症は認められていない。なお、プロトコ-ルの適応基準をはずれた7例(76歳以上の6名と心疾患の1例)については別に検討したところ、80歳以上の患者では十分な治療ができず、従って治療結果も不良であった。以上より、胃悪性リンパ腫は放射線治療を中心にした非切除治療で高い治療成績が得られることがわかった。 |