| セッション情報 |
一般演題
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| タイトル |
69:腹腔鏡下に確認した、大量の腹腔内遊離ガスを伴う回腸腸管嚢胞気腫症の1例
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| 演者 |
久松 貴(泉川病院) |
| 共同演者 |
七島 篤志(泉川病院DELIMITER長崎大学医学部 腫瘍外科), 芳賀 英章(泉川病院), 早川 友一郎(泉川病院), 泉川 欣一(泉川病院) |
| 抄録 |
症例は76歳男性。糖尿病、高血圧症、B型慢性肝炎及び慢性的な便秘症などで通院中であった。2002年8月19日より腹満感を自覚し徐々に増強した。8月21日当院内科を受診し、理学所見および腹部X線にて腹腔内に多量のfree airを認めた。発熱、自発痛、腹膜炎所見などは認めず腸蠕動も弱く聴取された。血液所見では、白血球(4200/mm3)やCRP(0.1mg/dl)の上昇なく生化学上も異常は認めなかった。上部消化管検査では十二指腸憩室があるのみで潰瘍や消化管穿孔の所見は認めなかった。腹部CT検査では、大量の腹腔内free airと全体に少量の腹水を認めた。下部腸管壁の一部に4cm大の腸管外に突出する多嚢胞病変を認めた。腸管嚢胞気腫症が最も考えられたが、上記所見より消化管穿孔の確認、気腫症の診断および強い腹満感の改善のため、同日全身麻酔下に緊急腹腔鏡を行った。傍臍部及び左右側腹部よりトラカールを挿入したが腹腔内のairは特に臭気はなかった。炭酸ガス気腹下に腹部全体を観察すると慢性肝炎、胆嚢緊満、少量のしょう液性腹水を認めるが、消化管穿孔の所見は認められなかった。腸管全体をくまなく検索すると回腸末端付近に限局して腸管しょう膜下に嚢胞性病変が確認されたが、同部に穿孔の所見なく切除は行わなかった。またさらに口側の回腸にも2箇所小嚢胞を認めた。術後は数日間の酸素投与、絶食観察ののち経口摂取を開始し以後良好に経過した。腸管嚢胞気腫症の成因は様々であるが、本症例では最近の高度な便秘に起因したものと考えられた。通常各種検査で診断された場合は保存的治療が第一選択であるが、文献上本症例のごとく高度な気腹を認めるものは少なく、それによる症状の改善と診断確定のためには緊急腹腔鏡は有用な方法と考えられた。 |
| 索引用語 |
腸管嚢胞気腫症, 腹腔鏡 |