セッション情報 一般演題

タイトル 91:

肝悪性腫瘍に対する皮下埋め込み型動注リザーバーを用いた間歇的動注化学療法の検討。

演者 高橋 行彦(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 放射線科)
共同演者 松浦 隆志(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 放射線科), 盧 徳鉉(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 放射線科), 長嶋 努(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 放射線科), 高橋 信(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 放射線科), 徳光 陽一郎(内科), 瀬尾 充(内科), 田中 博文(内科), 白浜 正文(内科), 大城戸 政行(外科), 加藤 雅人(外科), 一宮 仁(外科), 中垣 充(外科)
抄録 【目的】当院では切除不能転移性肝癌および切除後の転移性肝癌や原発性肝癌等に対して、皮下埋込み型動注用リザーバーを用いた動注化学療法を施行してきた。今回これらの症例に対して、予後、奏効率、副作用、合併症について検討したので報告する。【対象および方法】対象は1996年10月から2001年12月までの間に当院にてリザーバー留置を施行した73例で、性差は男性53例、女性20例、年齢は42歳から79歳で平均は61.6歳であった。対象疾患は、転移性肝癌が47例と最も多く、原発巣別では、大腸癌が25例で最も多く、転移性肝癌以外では、肝細胞癌が最も多く14例であった。経皮的動注リザーバー留置法は通常のSeldinger法による血管造影を施行後、必要に応じて血流改変術を行い造影カテーテルからアンスロンPUカテーテルに交換し、穿刺部の下内側約5cmに皮下ポケットを作成し、皮下トンネルによりカテーテルと接続し、ポートを留置した。埋込み部としては、右大腿内側皮下が59例、左大腿内側皮下が13例、右鎖骨下が1例であった。カテーテルの先端部の位置で最も多かったのは総肝動脈の35例、次に固有肝動脈の17例で、血流改変術を施行した血管で最も多かったのは、胃十二指腸動脈で41例であった。リザーバー留置後の化学療法は5Fu、CDDPを主として用いた。【結果】合併症としては、手技に関するものとしてカテーテル閉塞および逸脱が3例ずつ(4.1%)であった。治療効果はCRが3例(4.4%) PRが13例(19.1%)で奏効率は23.5%であった。転移性肝癌の平均生存日数は638日で原発性肝癌の平均生存日数は218日と有意に転移性肝癌の予後が良好で、特に大腸癌肝転移の平均生存日数は970日と良好であった。治療効果としてはCRが3例で4.4% PRが13例で19.1%で、奏効率は23.5%であった。【結論】肝腫瘍における皮下埋め込み型動注リザーバーによる動注化学療法は手技的に容易であり、合併症も比較的少なく、安全な治療であり、諸家の報告と同様に転移性肝癌(特に大腸癌肝転移)では有用であると考えられた。
索引用語 肝臓腫瘍, 動注リザーバー