セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 275:肝の炎症性偽腫瘍の一例 |
演者 | 森脇 裕司(長崎市立市民病院内科) |
共同演者 | 山川 正規(長崎市立市民病院内科), 山尾 拓史(長崎市立市民病院内科), 堤 卓也(長崎市立市民病院内科), 川野 洋治(長崎市立市民病院放射線科), 福田 俊夫(長崎市立市民病院放射線科), 田丸 直江(長崎市立市民病院病理), 河合 紀生子(長崎市立市民病院病理) |
抄録 | 症例は73歳、男性。高血圧にて前医に通院中であった。平成14年4月11日、歩行中に急に転倒し、近医に入院。心電図、頭部CTに異常ないため、2日後に退院となる。内科精査希望されたため、4月25日、前医にて腹部CT検査を施行。肝S5に約7cmの腫瘤性病変を認めたため、精査目的で入院となった。血液検査では、肝機能検査は正常で炎症所見も認めず、腫瘍マーカーも正常範囲であった。5月7日の造影CT検査では、この腫瘤性病変は5cm大に縮小し、動脈相で内部は不均一に染まり、門脈相でもこの造影効果は持続した。MRI検査では、この腫瘤性病変はT1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号を示し、辺縁より緩徐に造影効果を認め、後期相まで持続した。血管造影検査では、肝内枝の圧排所見のみでhypovascularな腫瘤であった。肝内胆管細胞癌や炎症性腫瘤が考えられたが、診断を確定する目的で肝生検を施行した。病理組織学的所見として、幼若な線維化組織が大半を占めており、組織球やリンパ球、形質細胞などの浸潤を伴い、反応性の細胆管の増生がみられた。以上より肝内胆管癌や肝細胞癌は否定的で肝の炎症性偽腫瘍と診断した。5月26日のCT検査では、腫瘍サイズはさらに縮小し、境界は明瞭となっており、退院とした。肝の炎症性偽腫瘍は比較的稀な病変で、肝膿瘍、肝内胆管細胞癌、転移などとの鑑別が重要な腫瘤様病変であるが、近年の画像診断の発達により本疾患の報告は増えてきている。今回、我々は肝の炎症性偽腫瘍の一例を経験したので報告する。 |
索引用語 | 肝, 炎症性偽腫瘍 |