セッション情報 一般演題

タイトル 117:

IFN治療後10年の経過をおいて肝組織を比較し得たC型慢性肝炎の3例

演者 菊地 馨(沖縄県立中部病院)
共同演者 島袋 容司樹(沖縄県立中部病院), 宮城 政剛(沖縄県立中部病院), 林 成峰(沖縄県立中部病院), 慶田 喜秀(沖縄県立中部病院)
抄録 【はじめに】IFN治療後、肝組織、特に繊維化の改善が長期にわたって見られるか否かは不明な点も多い。今回IFN治療を行ったC型慢性肝炎を経過観察し、約10年の間隔で肝組織を比較し得た3例を経験したので報告する。肝組織の検討は新犬山分類を用いstaging(F0-F4)、grading(A0-A3)で評価した。【症例1】38歳男性、C型慢性肝炎と診断され1992年4月から6月間、総投与量480MUのIFN治療(IFNα-2b)を受けた。治療中肝酵素は正常化したが治療終了後は上昇した(再燃例)。その後随時グリチルリチン製剤を使用した。2002年1月肝生検を施行した。この間の平均GPTは99であった。IFN治療前の肝組織はF1A0であり117月後はF0A0と肝酵素の軽度上昇が持続しているにも関わらず組織学的には不変もしくは改善傾向を認めた。【症例2】57歳男性、C型慢性肝炎と診断され1992年8月から6月間、総投与量480MUのIFN治療を受けた。治療中も肝酵素は正常化しなかった(無効例)。治療終了後も肝酵素は上昇し、随時グリチルリチン製剤を使用した。2002年9月肝生検を施行した。この間の平均GPTは126であった。治療前の肝組織はF2A3であり121月後はF3A3と繊維化の進展が見られた。【症例3】62歳女性、C型慢性肝炎と診断され1992年10月から6月間、総投与量480MUのIFN治療を受けた。治療により肝酵素は正常化したがHCV-RNAは陽性であった(有効例)。7年後の1999年にGPT316と肝酵素が再上昇しその後異常値が続いた。2002年4月、肝生検を施行した。IFN治療後全期間の平均GPTは57であった。IFN治療前の肝組織はF2A3であり114月後もF2A3と大きな進展はなかった。【結語】IFN治療後、随時肝庇護療法を行いながら約10年間の経過を観察し前後で肝組織を比較し得た3例を報告した。有効、再燃の2例では組織学的に繊維化の進展はあまり見られず、IFNを中心とする治療によって肝組織の繊維化の進展を予防しうる可能性が示唆されたが、IFN無効例では他の治療法を併用しても肝の繊維化の進展を阻止することは困難と考えられた。
索引用語 インターフェロン, 肝繊維化