セッション情報 一般演題

タイトル 223:

膵癌を合併した先天性胆道拡張症の一例

演者 桑田 剛(宮崎市郡医師会病院)
共同演者 山本 章二朗(宮崎医科大学 第二内科), 宮田 義史(宮崎医科大学 第二内科), 沼田 政嗣(宮崎医科大学 第二内科), 三好 かほり(宮崎市郡医師会病院), 床島 眞紀(宮崎市郡医師会病院), 山成 英夫(宮崎市郡医師会病院), 島山 俊夫(宮崎市郡医師会病院), 坪内 博仁(宮崎医科大学 第二内科)
抄録 症例は64歳の女性。2002年7月下旬より心窩部痛および背部痛が出現し、1週間症状が持続したため近医を受診した。血液検査上、血清AMY 707 IU/Lであり、急性膵炎が疑われ、当院に紹介され入院となった。入院時、上腹部に強い圧痛があり、腹部エコーおよびCT上は明らかな膵腫大の所見はなかったが、血液検査上WBC 8200 /μl、CRP 3.49 mg/dl、AMY 519 IU/L(S: 7.7%, P: 92.3%)、リパーゼ 560IU/Lと炎症所見と膵酵素の上昇を認め、急性膵炎と診断した。腹部エコーおよびCTでは総胆管の嚢腫状の拡張と左右肝管の拡張もみられ、いわゆる総胆管嚢腫の所見であった。また、膵頭部に、腹部エコーではhypoechoic、腹部MRIではT1強調画像でlow intensity、T2強調画像でhigh intensityを示す1.5cm大の腫瘤を認めた。内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)では総胆管の嚢腫状拡張および膵胆管合流異常を認め、主膵管が膵頭部で途絶していた。なお、胆道系の悪性腫瘍を疑わせる陰影欠損や狭窄像は認めなかった。以上から総胆管嚢腫に合併した膵癌を疑い、膵頭十二指腸切除術を施行した。病理所見では膵頭部の腫瘍は中分化型管状腺癌であった。また、総胆管は嚢腫状に拡張しており、膵胆管合流異常を伴っており、先天性胆道拡張症(Alonso-Ley分類 I型)と診断した。本症例は、急性膵炎を契機に診断された膵癌を合併した先天性胆道拡張の一例である。膵癌と先天性胆道拡張症の併存の報告は本邦で9例と非常に稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 先天性胆道拡張症, 膵癌