セッション情報 一般演題

タイトル 156:

仙骨硬膜外麻酔を併用した下部消化器内視鏡検査の検討

演者 高木 地孝(西武門病院)
共同演者 真喜志 知子(琉球大学 第一内科), 平田 哲生(琉球大学 第一内科), 金城 渚(同光学医療診療部), 金城 福則(同光学医療診療部), 斉藤 厚(琉球大学 第一内科), 新垣 哲(西武門病院)
抄録 下部消化器内視鏡検査の重要性は確立されているも、その検査中の苦痛特に挿入直後のS状結腸の通過に関して種々の挿入法が報告されてはいるが、かなりの疼痛を訴える症例を時々経験する。また経静脈的鎮静薬及び鎮痛薬の投与ではモニター管理が必要とされている。そこで今回我々は呼吸循環に影響を与えない仙骨硬膜外麻酔を併用した下部消化器内視鏡検査について検討したので報告する。
(対象)当院にて痔核及び痔ろうにて手術を受けた患者30人。いずれも腹部手術歴のない者を対象とし、無作為に10名ずつを仙骨硬膜外麻酔なし(なし群)、仙骨硬膜外10ml使用(10ml群)、仙骨硬膜外15ml使用(15ml群)に分けた。
(方法)仙骨硬膜外麻酔は1%カルボカインを10ml及び15mlを検査5分前に施行し、麻酔前、麻酔後、検査終了直後、帰室1時間後に血圧、心拍数、麻酔範囲、合併症を、全例に対して検査時間、盲腸到達時間と、検査中の疼痛はVisual Analog Scale(VAS)を用いて調査を行った。
(結果)3群間において平均年齢、男女比、盲腸到達時間、検査時間に差は認めなかった。麻酔範囲においては10ml群より15ml群の方が広範囲に得られた。VASは(なし群)4.55、(10ml群)2.55、(15ml群)3.2であり仙骨硬膜外麻酔併用群の方がなし群よりも優位に低い傾向であった。合併症は検査中及び検査後には呼吸循環に関する重大なものは認めないも、検査終了時に起立困難を訴えた患者が(10ml群)2人、(15ml群)5人であったが検査終了1時間後にはすべて回復を認めた。
(結語)仙骨硬膜外麻酔は下部消化器内視鏡検査中の苦痛軽減には有効であり、かつ安全に施行できる方法のひとつである。
索引用語 仙骨硬膜外麻酔, 下部消化器内視鏡