共同演者 |
長谷場 仁俊(長崎大学 医学部 第1外科), 山下 秀樹(長崎大学 医学部 第1外科), 澤井 照光(長崎大学 医学部 第1外科), 日高 重和(長崎大学 医学部 第1外科), 柴崎 信一(長崎大学 医学部 第1外科), 田中 賢二(長崎大学 医学部 第1外科), 七島 篤志(長崎大学 医学部 第1外科), 山口 広之(長崎大学 医学部 第1外科), 安武 亨(長崎大学 医学部 第1外科), 中越 享(長崎大学 医学部 第1外科) |
抄録 |
【背景】HNPCC症例の予後が良好で、high-frequency microsatellite instability (MSI-H)が高頻度であることをきっかけとして、欧米での散発性大腸癌におけるMSIの研究では、MSI-Hは良好な予後を示す因子であるとの報告もある。しかしながら、日本人ではこの点については不明確である。【対象と方法】当科において根治度AまたはBの手術をうけた散発性大腸癌159例(stage 1,18; 2,71; 3,63; 4, 7例)。MSIの判定は5 marker (D2S123, D3S966, TP53, DCC, BAT26) のうち2つ以上でMSI陽性をMSI-H、1つのみをMSI-L (low-frequency microsatellite instability)、認めない症例をMSS(microsatellite stable)とした。再発をend-pointとしてMSS と MSI-Hの予後への影響を多変量解析で検討した。【結果】MSI-H 12例(7.5%)、MSI-L 8例(5.0%)、MSS 139例(87.5%)。MSI-HはMSSに比して低分化・右側結腸の頻度が有意に高い。MSI-Lを除いた151例では、病理学的因子、術後化学療法の有無、MSI phenotypeの中でstageのみが独立予後因子であった。MSI-H, MSSの5年健存率は各々85%, 76%(p=0.74, log-rank)であり、多変量解析ではMSS/MSI-HのHazard Ratio 2.46 (95%CI:0.47-12.89, p=0.29)。【結語】今回の散発性大腸癌ではMSI-Hの病理学的特長は従来どうりではあるが、独立予後因子とはならない。 |