セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 202:右上顎癌の膵転移により閉塞性黄疸をきたした一剖検例 |
演者 | 田浦 直太(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター) |
共同演者 | 長岡 進矢(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 古澤 千枝(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 矢野 公士(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 植木 俊仁(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 松本 武浩(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 大黒 学(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 八橋 弘(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 古賀 満明(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 石橋 大海(国立病院長崎医療センター 臨床研究センター), 中尾 善亮(国立病院長崎医療センター 耳鼻咽喉科), 伊東 正博(国立病院長崎医療センター 病理) |
抄録 | 症例は75歳男性。主訴は黄疸、肝機能異常。2000 年7月3日、右頬部腫脹の精査及び治療目的で当院耳鼻咽喉科へ入院。生検組織所見で右上顎癌(扁平上皮癌)の診断を得たため、40Gyの放射線治療と動注療法の併用を行った後、10月4日に右上顎摘出術を施行した。手術後の経過は良好であったが、2002年3月のCT検査で両頚部リンパ節転移が疑われたため、3月8日に当院耳鼻咽喉科へ再入院となった。入院後、放射線療法と化学療法の併用により、リンパ節転移巣の縮小が得られたが、5月下旬頃より黄疸と肝機能異常が出現し、さらに腹部CT及びMRCPにて肝内胆管~総胆管の拡張が認められたため、閉塞性黄疸の診断で6月12日に当科へ転科となった。入院時検査所見では著明なビリルビン値の上昇、高カルシウム血症、腎機能障害が認められた。 ERCPで約3 cmにわたる下部総胆管の閉塞および中部総胆管~肝内胆管拡張が認められたため、内視鏡的経鼻胆管ドレナージを施行し減黄を図った。しかし、高カルシウム血症による腎機能の悪化、DIC併発により徐々に全身状態が悪化し7月10日に死亡した。剖検所見では、膵頭部に総胆管を巻き込んで約4cmの腫瘍が認められ、病理組織検査で中等度~低分化型の扁平上皮癌であることが判明した。2000年10月の手術時に摘出された右上顎癌と同じ組織型であったため、上顎癌を原発巣とした転移性膵腫瘍であると考えられた。また、肝、右肺、後腹膜リンパ節にも転移巣が観察され、すべての転移巣は扁平上皮癌であった。上顎癌から膵実質内への転移はこれまで報告例が少なく、極めて稀な症例であるため報告する。 |
索引用語 | 上顎癌, 転移性膵癌 |