セッション情報 一般演題

タイトル 22:

ネフローゼ症候群を合併した胃癌の一手術例

演者 篠原 稔(佐賀医科大学 医学部 一般・消化器外科)
共同演者 篠原 稔(佐賀医科大学 医学部 一般・消化器外科), 阪本 雄一郎(佐賀医科大学 医学部 一般・消化器外科), 平野 達也(佐賀医科大学 医学部 一般・消化器外科), 佐藤 清治(佐賀医科大学 医学部 一般・消化器外科), 宮崎 耕治(佐賀医科大学 医学部 一般・消化器外科), 藤崎 大整(佐賀医科大学 医学部 腎臓内科)
抄録 症例は63歳女性。感冒様症状、両下肢の浮腫を主訴に近医を受診。ネフロ-ゼ症候群と診断された。また、貧血の精査目的で行われた上部消化管内視鏡にて胃体上部小弯後壁に10cm大の1型胃癌を指摘され、手術目的で当科紹介入院となった。入院時血清アルブミン値1.8g/dlと低値のため胃全摘術困難と判断し、ネフロ-ゼ症候群の治療を先行させるべく腎内科転科となった。腎生検の結果は膜性腎症であった。治療はステロイド・免疫抑制剤の投与であったが、1 ネフロ-ゼ症候群が改善し血清アルブミン値が上昇する確率は40%程度であること、2 ステロイド・免疫抑制剤の投与が胃癌を更に進行させる可能性があること、3 治療期間が2ヶ月と長期にわたり胃癌が進行する可能性があること、4 その期間に抗癌剤を併用した場合の相互作用は不明であることより、アルブミン・凍結血漿を投与し血清アルブミン値が上昇(目安として3.0g/dl以上)した時点で手術を行うこととした。アルブミン・凍結血漿を3週間連日投与したが、2.7g/dl以上には上昇しなかった。この状態で患者、家族と相談し胃全摘術を施行した。術後も10日間、アルブミン・凍結血漿の投与を行った。術後経過は縫合不全などの合併症も起こさず良好に経過し退院となった。病理組織学的診断では高分化型腺癌、T2(SS)、N1、StageIIであった。ネフロ-ゼ症候群を伴った胃癌症例で、胃切除によりネフロ-ゼ症候群の改善を認めたとの報告もあり、ネフロ-ゼ症候群についても経過観察を予定している。
索引用語 胃癌, ネフローゼ症候群