セッション情報 |
パネルディスカッション5(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)
肝拠点病院網と肝診療均てん化の現状課題
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タイトル |
肝PD5-1:佐賀県における肝炎ウイルスキャリアと助成制度によるウイルス肝炎治療状況
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演者 |
尾崎 岩太(佐賀大保健管理センター) |
共同演者 |
平井 賢治(平井内科DELIMITER佐賀県医師会・肝癌部会), 水田 敏彦(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科) |
抄録 |
佐賀県は2001年以降肝癌粗死亡率ワースト1が続いている。佐賀県では1992年より住民検診でC型肝炎ウイルス検査が導入され、2001年からはHBs抗原検査も加えられた。2008年より肝炎治療助成事業が開始され県下におけるIFN治療状況の把握が可能になってきた。今回佐賀県における肝検診事業と肝炎治療に対する助成状況の分析を行いその問題点と今後の対策を検討した。<方法> (1) 佐賀県の肝検診受診者のデータから各年代別の肝炎ウイルスキャリア数を推定、治療対象者数の推定を行った。(2) 肝検診受診後の肝炎ウイルスキャリアの医療機関への受診状況調査を行なった。(3) 治療助成の申請状況から佐賀県における医療機関での治療状況を分析した。<結果>(1)1992年からの検診でC型では30歳以上の49.3%が、B型については25.5%が検査を終えていた。2009年時点で佐賀県内30歳以上のHCVキャリアは人口の2.31%、約17000名のキャリアがいると推定され70歳以上が54%を占めた。HBs抗原陽性者は30歳以上の1.45%で約8,000名と推定された。また60歳未満の男性での検診受診率が著しく低かった。(2) 検診で要精密と診断され医療機関での精密検査を受けたのは住民検診で約50%, 職域検診で約25%であったのに対し医療機関では80%を越えていた。(3) 2008年4月から2010年12月までに1,649件のC型肝炎に対するIFN治療助成が行われた。これは既知のHCVキャリアの17.3%に相当し、治療適応があると考えられる既知キャリアの約4割にあたると推定される。<結論>1992年からの肝検診によって佐賀県のHCVキャリアの半数が掘り起こされている。検診の種類では職域での要精密者の医療機関への受診率が低い。医療機関での検査は効率が高いことから、職域の受診者を積極的に医療機関へ誘導する方策が必要である。また医療機関でIFN治療に結びついている数も現在判明している治療が必要と思われるキャリアの半数に満たない。さらにIFN治療導入を推し進める必要がある。 |
索引用語 |
肝炎ウイルス検診, IFN治療助成 |