セッション情報 一般演題

タイトル 176:

内視鏡的食道静脈瘤硬化療法後に発症した食道粘膜下巨大血腫の2例

演者 赤崎 安宣(鹿児島大学 医学部 第2内科)
共同演者 林 昭太(鹿児島大学 医学部 第2内科), 川畑 英嗣(鹿児島大学 医学部 第2内科), 矢野 貴文(鹿児島大学 医学部 第2内科), 斉藤 幸(鹿児島大学 医学部 第2内科), 竹元 千代美(鹿児島大学 医学部 第2内科), 橋口 真也(鹿児島大学 医学部 第2内科), 嘉川 潤一(鹿児島大学 医学部 第2内科), 中塩 一昭(鹿児島大学 医学部 第2内科), 松元 淳(鹿児島大学 医学部 第2内科), 有馬 暉勝(鹿児島大学 医学部 第2内科)
抄録 食道胃静脈瘤に対して予防的内視鏡的硬化療法(EIS)が積極的に行われているがEISに伴う合併症は少なからず認められる.EISは出血や狭窄などの合併症を多く認めるが巨大血腫を発症する症例は比較的少ない.我々は,EIS後に食道粘膜下巨大血腫を発症した2例を経験したので報告する.(症例1)47歳男性.02年1月HCV陽性の肝硬変を指摘され肝細胞癌も疑われたため当科入院.内視鏡検査にてLm.F2.Cw.RC(2+)(RWM)TE(+)Lg(-)の食道静脈瘤を認めたため,予防的EIS(初回)を施行した.3セッション目に1%ASによる地固め療法施行したが,翌日より激しい嚥下痛に伴う嚥下困難が出現した.内視鏡検査で長径10cm以上にわたり食道粘膜下巨大血腫を認め,血腫により食道内腔の閉塞が認められたため穿刺吸引を行った.吸引後,血腫は平坦化し症状の著明な改善を認め1週間後には巨大潰瘍となっていた.(症例2)66歳男性.91年に慢性C型肝炎を指摘され経過観察されていたが,92年肝細胞癌を指摘されPEIT施行.以後00年までPEITを繰り返していた.同年,食道静脈瘤に対して2セッションのEISを施行.その後定期的に経過観察されていた.02年8月食道静脈瘤の再発(Lm.F1.Cw.RC(2+)(CRS).TE(+).Lgf(F1.Cw.RC(-))が認められ,2シリーズ目のEISを施行.1セッション目に5%EOIを血管内に総量16ml注入し,血管外に総量1.2ml注入した.その直後より長径19cmにわたり食道粘膜下巨大血腫が形成されたため穿刺吸引を行った.穿刺部より多量の出血が認められたが自然止血し血腫はやや平坦化した.EIS後数時間は激しい嚥下痛が認められたが嚥下困難は認めず,翌日には症状の改善が認められた.EISによる巨大血腫形成は激しい疼痛を伴い食道閉塞による嚥下困難が出現しやすい.血腫は自然経過で消失すると言われているが,その間患者にとってかなりの苦痛を与えることになる.自経験では,積極的な穿刺吸引で早期に症状の改善を認めたため巨大血腫が形成された場合の穿刺吸引は有用であると考えられた.
索引用語 食道静脈瘤硬化療法, 巨大血腫