セッション情報 一般演題

タイトル 33:

当院における内科・外科境界領域の早期胃癌の臨床的検討

演者 福山 浩二((医)天神会古賀病院21)
共同演者 秋山 哲司((医)天神会古賀病院21), 長崎 嘉和((医)天神会古賀病院21)
抄録 目的;当院で過去5年間に外科手術を施行された早期胃癌のうち、後向きに“いわゆるEMR適応胃癌”が外科手術となった背景を検討した。また、過去5年間にEMRされた症例のうち完全切除されなかった症例の追加治療及び経過を検討した。方法;1.当院で過去5年間に外科手術を施行された早期胃癌のうち、後向きに“いわゆるEMR適応胃癌(20mm以下、Ul(-)の分化型m癌、5mm以下、Ul(-)の未分化型m癌)”を洗い出し、外科手術となった背景を検討した。2.当院で過去5年間にEMRされた症例のうち完全切除されなかった症例の経過を検討した。結果;1.EMRの適応と思われるが外科治療となった症例は67例中2例(2.99%)で、噴門部の分化型IIcが1例、前庭部の未分化IIcが1例だった。前者は生検等の処置困難なため、後者は患者希望で、いずれも腹腔鏡下胃部分切除が行われた。2.EMRされた症例のうち、胃癌取扱い規約に従い完全切除されなかった症例は29例中15例(51.7%)で、15例中、水平断端陽性、垂直断端陰性は13例だった。その経過は、5例がその後の生検でgroupI、1例は内視鏡的に残存なしと判断、5例がドロップアウト、2例が最近の処置のため未確認だった。この13例中6例(46.2%)は臨床上残存なしと判断した。2例は水平断端、垂直断端ともに陽性のため追加外科切除が行われた。考察;1.大きさ、組織型、深達度がEMRの適応であっても、内視鏡処置が困難な部位は、適応にこだわらず根治性を目指した縮小外科手術も考慮すべきであり、内科・外科間の連携を密にしていくことが重要と思われた。2.EMR施行し、水平断端が陽性でも、胃癌取扱い規約の根治度評価が厳しいことや焼灼効果もあるため、場合によっては根治性も期待できると思われた。また、年齢、基礎疾患などから根治的外科手術が困難な場合は、はじめからレーザーなど追加治療を念頭に治療し、フォローアップしていくこともQOLをふまえると有効と思われた。しかし、ドロップアウトしてしまうことも考慮し、経過観察の重要性を十分説明すべきと思われた。
索引用語 早期胃癌, 内視鏡的粘膜切除術