セッション情報 一般演題

タイトル 114:

ラミブジンにより薬疹が出現したB型慢性肝炎一例

演者 成田 竜一(産業医科大学 医学部 第三内科)
共同演者 日浦 政明(産業医科大学 医学部 第三内科), 阿部 慎太郎(産業医科大学 医学部 第三内科), 田原 章成(産業医科大学 医学部 第三内科), 大槻 眞(産業医科大学 医学部 第三内科)
抄録  症例は41歳、男性。生来健康。30歳頃、献血時にHBV陽性を指摘された。2000年7月頃より全身倦怠感を自覚し、近医を受診した。AST 990 IU/l、ALT 752 IU/l、T-Bil 2.8 mg/dlと異常を指摘され7月31日当科紹介入院となった。HBsAg (+)、HBsAb (-)、HBeAg (+)、HBeAb (-)、HBV-DNA 5.1 LGE/ml、HCV-Ab (-)、IgM-HA Ab (-)でありHBVキャリアの急性発症と考え肝庇護療法を行いAST 41IU/l、ALT 30IU/l、T-Bil 0.7mg/dlと改善を認めたため8月31日退院となった。その後外来にて経過観察されたが、自己判断にて間もなく通院を中止し2001年6月再び全身倦怠感認め当科受診し、AST 294IU/l、ALT 243IU/l、T-Bil 1.8mg/dl1と再上昇認められ、Plt 9,5000/mm3と血小板の低下も認められた。ウルソ、SNMC投与を受けられたが、改善あるもののAST、ALT高値続くため10月3日よりラミブジン投与を開始された。投与1ヵ月後にはAST 72 IU/l、ALT 38 IU/lと改善し、HBeAg (-)、HBeAb (+)とseroconversionも認められ、2002年4月3日にはHBV-DNA 3.7 LGE/ml未満となった。しかし、投与開始後8カ月目の6月頃より体幹部を中心とした皮疹を認めるようになった。市販薬(oxatomide)で経過を見ていたが、増悪したため8月21日当科受診。ラミブジンによる薬疹が考えられたため投与を中止した。中止時のデータはAST 49 IU/l、ALT 37 IU/l、T-Bil 0.8 mg/dl、Plt 10,2000/mm3、HBV-DNA 3.7 LGE/ml未満、HBeAg (-)、HBeAb (+)であった。中止後皮疹は改善し、また、現在までAST、ALTの上昇も認めていない。 ラミブジンの主な副作用には、頭痛、倦怠感などがあるが、いずれも軽度で薬剤を中止する例は少ないと言われている。本症例はラミブジン以外の併用薬がなく皮疹の原因としてラミブジンが最も疑われた。ラミブジン投与中止後肝障害が増悪することがあり、本剤の中止には慎重を要する。一般に薬疹の治療には原因薬の中止が重要となるが、ラミブジン投与前には副作用による中止の可能性も十分に説明しておく必要があると考え、若干の文献的考察を含め報告する。
索引用語 ラミブジン, 薬疹