セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
97:肝癌に対するラジオ波焼灼療法後に治療局所の急速増大との鑑別を要した胆汁性嚢胞の1例
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演者 |
古賀 正啓(佐賀) |
共同演者 |
重松 宏尚(佐賀), 川添 聖治(佐賀), 小野原 信吾(佐賀) |
抄録 |
【はじめに】胆汁性嚢胞(以下biloma)は胆汁が胆道系の外部に限局して貯留したものと定義され、肝胆道系の手術、外傷、結石などが原因となって発症する。またTACE、PEIT、PMCTなどの肝癌治療の合併症として発症したbilomaの報告も散見される。今回我々は肝癌に対するラジオ波焼灼療法(以下RFA)後に治療局所の急速増大との鑑別に苦慮したbilomaの1例を経験したので報告する。【症例】症例は68歳、男性。1994年慢性C型肝炎の診断でインターフェロン療法を受けるも無効。1998年10月、S4径20mmの肝癌に対してTACE+PEITを施行。2001年12月、S4/8の径30mmの肝癌に対してTACE+RFAを施行。以後当科外来で経過観察されていたが2002年5月の腹部US、CTで治療後の肝癌が径60mmと増大を認めたため、精査加療目的に当科入院。治療前に高値を呈していたAFP、PIVKA-IIは治療後正常範囲内で推移していたが、US、CT所見よりRFA後の急速増大の可能性を考えた。血管造影では腫瘍の再発を疑わせるような腫瘍濃染像は認めなかった。また経皮的肝腫瘍生検では壊死組織と胆汁鬱滞のみで、再発の所見を認めなかった。腹部MRIで腫瘍内部に液体を反映するT1強調画像でlow、T2強調画像でhighの領域を認めた。以上の所見より画像上明らかな肝内胆管の拡張は認めないものの、bilomaの可能性を考え、焼灼後の腫瘍に対して経皮的に穿刺造影を行った。造影所見では腫瘍の周囲と内部が造影され、造影剤の圧入により肝内胆管との交通が明らかとなり、RFA後の腫瘍内部に胆汁が鬱滞したbilomaと確定診断した。【結語】RFAはPMCTに比較して脈管、胆管系の損傷が少ないという認識が一般的であるが、胆管損傷によるbilomaを生じる可能性があることを念頭におくべきである。また本症例のように、焼灼後の腫瘍内部への胆汁貯留により腫瘍サイズが増大するような症例では、腫瘍の急速増大との鑑別が困難となる可能性がある。 |
索引用語 |
胆汁性嚢胞, 肝癌 |