セッション情報 一般演題

タイトル 163:

DMSOが有効であった消化管アミロイドーシスの1例

演者 仲吉 朝邦(与那原中央病院 内科)
共同演者 前城 達次(与那原中央病院 内科), 當山 晃世(与那原中央病院 内科), 与儀 裕(与那原中央病院 内科), 金城 福則(琉球大学 医学部 第1内科)
抄録 【はじめに】消化管アミロイドーシスに対し有機溶媒の一種であるdimethyl sulfoxide (DMSO) 有効例の報告がみられる。今回我々はDMSOが有効であった消化管アミロイドーシス1例を経験したので報告する。【症例】48才女性。【現病歴】44才時より慢性関節リウマチで近医にて治療中、1999年6月初旬より腹痛、1日5~6回の水様便を認め、感染性腸炎の診断で入院。約1ヶ月間の治療(抗生剤等)を受けたが改善がみられないため7月21日当科受診した。内服薬で効果なく9月12日ごろより悪心嘔吐が出現したため精査加療目的で9月13日第1回目入院となった。経過中MRSA腸炎を併発したがVCM投与により軽快し10月14日退院となった。退院後症状なく経過していたが12月20日頃より腹痛、水様便、悪心・嘔吐が出現したため12月25日第2回目入院となった。絶食と輸液のみで1月14日頃から症状が改善し1月27日に退院となった。退院後腹部症状なく経過していたが2000年3月20日頃より再び同様の症状が出現したため、3月24日精査加療目的で第3回目入院となった。【入院後経過】入院時理学的所見では、微熱、軽度貧血と下腹部全体に自発痛と圧痛を認めた。検査所見では、炎症反応の上昇と貧血、低タンパク血症、尿蛋白、便潜血を認めた。大腸内視鏡検査では、直腸から下行結腸まで所々に軽度の発赤、浮腫、血管透見不良を認め、生検組織よりアミロイドーシスと診断した。上部消化管内視鏡検査では、食道は異常なく、胃は全体的に萎縮性変化と小発赤の散在を認め、十二指腸は球部から下行脚まで浮腫を伴う微細顆粒状隆起の多発を認めた。胃、十二指腸粘膜からもアミロイドの沈着を認めた。十分なインフォームドコンセントを得た上で、5月24日からDMSOを開始した。投与開始1週間目頃から症状が改善し、10日目頃からは食事も全量摂取可能となり6月15日退院した。その後は、現在に至るまで腹部症状はほとんどみられていない。SAA値は11月頃までは増加傾向を示したが、その後減少し2001年4月にははほぼ正常化した。自己判断による減量でSAA値は再び高値となり、その後はDMSOの服用状況に対応するかのように変動している。
索引用語 消化管アミロイドーシス, DMSO