セッション情報 一般演題

タイトル 39:

アルゴンプラズマ凝固法が有用であった早期胃癌の一例

演者 川畑 英嗣(鹿児島大学付属病院第二内科)
共同演者 矢野 貴文(鹿児島大学付属病院第二内科), 岡江 耕二郎(鹿児島大学付属病院第二内科), 今給黎 和幸(鹿児島大学付属病院第二内科), 斎藤 幸(鹿児島大学付属病院第二内科), 竹元 千代美(鹿児島大学付属病院第二内科), 橋口 真也(鹿児島大学付属病院第二内科), 赤崎 安宣(鹿児島大学付属病院第二内科), 本田 昭彦(鹿児島大学付属病院第二内科), 山元 隆文(鹿児島大学付属病院第二内科), 嘉川 潤一(鹿児島大学付属病院第二内科), 中塩 一昭(鹿児島大学付属病院第二内科), 松元 淳(鹿児島大学付属病院第二内科)
抄録 現在,早期胃癌に対する内科的治療法として内視鏡による粘膜切除術(EMR)が多用されている.しかしながらEMRによる偶発症も稀ではない.一方,最近ではアルゴンプラズマ凝固法(APC)が各種内視鏡的治療に導入され,その安全性から臨床現場で急速に普及しつつある.早期胃癌治療においてもAPCが採用されているが,多くはEMR後の遺残病変に対する追加治療として用いられている.今回,早期胃癌に対しAPC単独にて治療を行い,臨床的に有用であったと思われた1例を経験した. 症例は75歳,男性.C型肝硬変,HCCにて当科にて精査加療中であった.平成8年7月には早期胃癌,胃腺腫に対してEMR施行歴有り.平成10年8月の上部消化管内視鏡検査にて胃角後壁にIIa型隆起性病変を認め,生検にてGroup-V,tub 1が検出された.内視鏡検査及び超音波内視鏡検査にて深達度mと診断,10月にEMR施行するも病変を直視出来ずEMRを断念,APCによる焼却治療を選択した.計3回のAPC焼灼術を施行したが,平成12年4月までの内視鏡検査では肉眼的に再発もなく,また生検組織からの悪性所見も認めなかった.平成12年2月より腹水が出現.利尿剤の投与,増量にて治療を行うも次第に状態が悪化し,平成12年9月3日永眠された.なお,剖検は施行しなかった.高齢化社会を迎え,また種々の条件で早期胃癌に対するEMR困難な症例が今後増えるものと思われる.APC単独療法も早期胃癌に対する治療法として有用であると思われ,今後さらなる臨床的検討が望まれる.
索引用語 早期胃癌, APC