セッション情報 一般演題

タイトル 277:

多彩な組織像を示した肝原発嚢胞腺癌の1例

演者 本吉 康英(大分県立病院消化器内科)
共同演者 荒牧 俊幸(大分県立病院消化器内科), 豊田 亮(大分県立病院消化器内科), 川下 浩(大分県立病院消化器内科), 柴冨 和貴(大分県立病院消化器内科), 鶴田 正太郎(大分県立病院消化器内科), 加藤 有史(大分県立病院消化器内科)
抄録 【症例】81歳男性、家族歴・既往歴に特記事項無し。生来健康で異常を指摘されたことは無かった。80歳時、検診にてALP 330を指摘されるも放置していた。H13年1月上旬より感冒様症状出現したため、3月26日近医受診した。右季肋部腫瘤を指摘され同日当科紹介、精査加療目的にて第1回入院となる。自覚症状はなし。身体所見としては右季肋部正中寄りに腫瘤を3横指触知した。腫瘍マーカーではAFP <1.0ng/ml、PIVKA-2 12mAU/ml、CEA 2.7ng/ml、CA19-9 157.8U/mlであった。腹部エコーでは肝右葉に径9.8×11.4cmの嚢胞性腫瘍を認め、厚い嚢胞壁と内腔には乳頭状腫瘍を認めた。CTでは肝右葉に12.5cm×9.5cmの動脈相・門脈相にて辺縁に造影効果のある低吸収域を認め、内部に乳頭状の充実性腫瘍を認めた。肝嚢胞液は黄色で中等度混濁しており、CEA 128ng/ml, CA19-9 181100U/mlであった。細胞診はclass 3、異常角化を示す扁平上皮細胞を認めた。腫瘍生検実施し、その病理像に肝細胞癌・扁平上皮癌・胆管細胞癌の混在を認めた。また、SCC濃度は血清において25.6ng/ml、肝嚢胞液中で1790ng/mlであった。上部・下部消化管内視鏡では悪性腫瘍を認めなかった。以上から肝細胞癌と扁平上皮化を伴う胆管嚢胞腺癌と診断した。腫瘍の大きさ・組織像・患者の年齢等を考慮し、手術・化学療法の適応に無いと判断し退院となった。同年9月に突然の吐下血のため当院救急外来受診し、緊急上部消化管内視鏡施行し十二指腸球部前壁に潰瘍を伴う隆起性病変を認めた。肝腫瘍の十二指腸浸潤が疑われ同日当科第2回入院となった。CTにて胆管嚢胞腺癌の十二指腸への浸潤・瘻孔形成と同部への感染が疑われた。循環・感染のコントロール試みるも病態悪化しDIC併発し、死亡した。 【目的】胆管嚢胞腺癌は臨床的に頻度の低い疾患であり、また多彩な組織像を示した稀な症例であるため、文献考察も含めてここに報告する。
索引用語 胆管嚢胞腺癌, 扁平上皮癌