セッション情報 一般演題

タイトル 95:

TS-1が奏功した肝細胞癌の1例

演者 久保 満樹(国立病院九州医療センター 肝臓病センター)
共同演者 釈迦堂 敏(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 武元 良祐(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 山下 尚毅(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 西 秀博(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 福森 一太(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 福泉 公仁隆(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 宮原 稔彦(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 酒井 浩徳(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 安森 弘太郎(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 村中 光(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 才津 秀樹(国立病院九州医療センター 肝臓病センター), 渡辺 次郎(国立病院九州医療センター 肝臓病センター)
抄録 症例は65才男性。C型慢性肝炎で近医受診中の1995年、肝右葉の多発肝細胞癌と診断されTAEを施行された。1996年、肝右葉の多発再発に対してもTAEを施行された。2000年3月、肝S1に肝細胞癌再発を認め当院肝臓病センター紹介となり、開腹下にMCNを施行した。2001年12月、肝S1局所再発に対して、開腹下のエタノール注入療法を施行した。その後、外来で経過観察中であったが、PIVKA-2上昇を認め2002年4月、再入院となった。腹部CTスキャンでは肝S1の前回治療域周辺に腫瘍濃染を認めた。経皮的穿刺は困難な部位であったが、肝S1の腫瘍であり肝動注化学療法も効果が乏しいと判断しPEITで治療を行った。効果判定CTでは腫瘍の残存を認めたため、全身化学療法を選択した。4月22日よりTS-1 120 mg/dayを3週間投与し、PIVKA-2は1070 mAU/mlから543 mAU/mlまで低下した。その後も外来で2週投薬4週休薬を継続しPIVKA-2は28 mAU/mlまで低下、腹部CTスキャンでも肝S1の腫瘍濃染は消失した。副作用としては軽度の骨髄抑制と食欲不振を認めたが重篤なものは認めなかった。本症例は3度の開腹術後であり、しかも肝S1の肝細胞癌であり有効な穿刺ルートがとれず経皮的治療が困難であったが、TS-1投与により腫瘍マーカーの正常化と画像上腫瘍の消失を認めた。外科的治療、経皮的治療、あるいは肝動注化学療法が困難な肝細胞癌症例に対して、TS-1は有効である可能性が示唆された。今後は症例を重ねて肝細胞癌に対するTS-1の有効性を検討する必要があると考えられた。
索引用語 肝細胞癌, 治療