抄録 |
症例は63才女性。50才頃より高血圧の指摘を受け近医にて投薬を受けていた。平成14年1月近医にてC型慢性肝炎を指摘され1/30当科初診。平成14年7/23インターフェロン(IFN)α-2b(600万単位)・リバビリン(600mg/日)併用療法目的で入院。入院時血液検査所見はHCV-RNA 670KIU/ml,genotype1B,GOT 68IU/l, GPT 95IU/lであった。主だった副作用なく7/29退院。以後のIFNを近医にて施行。8/12診察時は身体的所見では異常は認めずIFN16回終了。8/13-15頃ろれつがまわっていないことに家族が気付き家族の依頼で8/24再入院となる。再入院時血圧170/90mmHg、脈拍76/分、不整なし。意識清明。貧血微かにあり、黄疸なし、呼吸音、心音異常なし。明らかな神経学的所見なし。入院時血液検査所見ではWBC 5380/μl, Hb 11.4g/dl, Plt 18.6万/μl, GOT 31IU/l, GPT 25IU/l, TG 401mg/dl, PT 114.3%であった。入院中は無症状でありIFNα-2b・リバビリン併用療法は継続。8/27頭部CT施行。左視床に淡い高吸収域と周囲の低吸収域を認め、造影にて左視床部に造影増強は認めないため視床出血と血腫周囲の浮腫と診断。右被殻にも5mm程度の同様の淡い高吸収域を認め、血腫が疑われた。既に出血は治まっており血圧コントロールを厳重に行うこととし8/30退院。IFNα-2b・リバビリン併用療法は9/10中止した。IFNα-2b・リバビリン併用療法中に脳出血を起こした症例は自験例を含め5例報告され2例は死亡例である。全例ともに高血圧、2例に糖尿病の合併を認めた。死亡例は2例とも高血圧、糖尿病の両方を合併していた。全例ともに脳出血の症状出現はインターフェロンα-2b・リバビリン併用療法開始後3週以内に起きていた。高血圧、糖尿病を合併しているC型慢性肝炎の症例にインターフェロンα-2b・リバビリン併用療法を行うときは十分な注意が必要である。 |