セッション情報 パネルディスカッション5(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)

肝拠点病院網と肝診療均てん化の現状課題

タイトル 肝PD5-4:

年1回の専門医療機関受診を柱とした石川県肝炎診療連携の構築と状況

演者 酒井 明人(金沢大・消化器内科)
共同演者 金子 周一(金沢大・消化器内科)
抄録 【目的】平成19年厚生労働省より示された「都道府県における肝炎検査後肝疾患診療体制に関するガイドライン」では地域における診療連携ネットワークの構築、事後の受診状況の把握、少なくとも年1回の専門医療機関受診、がその柱である。石川県では平成14年肝炎ウイルス検診当初より肝炎協議会を設立し、行政・保健師による患者のフォローアップ事業を継続し、問題点の把握・改善を行い、精検未受診者の受診勧奨、IFN療法施行率増加に結び付けてきた。平成20年4月には肝疾患診療連携拠点病院及び専門医療機関を選定、県下医療体制整備した。今回診療ネットワークの更なる構築および年一回の専門医療機関受診を促す方策として平成22年度より開始した「石川県肝炎診療連携」の状況を報告する。【方法】事前に県、市町担当、医師会及び専門医療機関と協議を重ね事業への協力を得た。肝炎ウイルス検診陽性2570名に市町から肝炎診療連携への同意書・調査票を送付し、かかりつけ医は選定された専門医療機関を紹介、受診勧奨した。専門医療機関受診後の調査票を基に受診・診断治療状況を解析した。【成績】平成23年3月現在で同意書回収706例(27%)、内診療連携への参加同意は605例であった。調査票回収は410例でB型202例(49%)、C型208例(51%)。B型では慢性肝炎58例、肝硬変3例、肝癌3例、無症候性キャリア133例、C型ではそれぞれ154例、22例、8例、23例であった。B型の治療では核酸アナログ投与27例(13%)であった。C型肝炎のIFN療法の状況は過去に施行56例(内著効18例)、現在投与中13例、今回投与開始10例で、総計79例(38%)でIFN療法が導入されていた。特に75歳以下の148症例でみるとIFN未施行86例中9例にIFNが新たに開始され、総計71例(48%)と半数近くでIFN療法が行われていた。IFN未施行症例の多くはALT値正常、高齢者であった。【結論】石川県肝炎診療連携では肝炎症例の正確な状況把握が可能で、適切な治療導入にも繋がった。今後この事業をより周知して参加症例を増やすことが必要である。
索引用語 肝疾患診療連携拠点病院, 肝炎診療連携