セッション情報 |
シンポジウム2
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タイトル |
S2-006:消化管原発悪性リンパ腫460例の治療と予後
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演者 |
中村 昌太郎(九州大学 大学院 病態機能内科学) |
共同演者 |
松本 主之(九州大学 大学院 病態機能内科学), 飯田 三雄(九州大学 大学院 病態機能内科学) |
抄録 |
【目的】消化管悪性リンパ腫の至適治療法は確立されていない。本研究では、多数例の解析により消化管原発悪性リンパ腫の予後因子を決定し、治療法が予後に及ぼす影響について検討した。 【方法】1963年~2002年に診断された消化管原発悪性リンパ腫460例(胃原発344例、腸管原発99例、胃腸浸潤17例)を対象とし、治療法および時代変遷を含む臨床病理学的特徴について遡及的に検討した。 【成績】組織型は、低悪性度MALTリンパ腫201例(44%)、濾胞性リンパ腫27例、マントル細胞リンパ腫 2例、形質細胞腫2例、びまん性大細胞型Bリンパ腫 177例(うちMALTリンパ腫成分を伴うもの76例)、バーキットリンパ腫8例、リンパ芽球性リンパ腫4例、T細胞性リンパ腫39例であった。治療法は、外科切除のみ224例(49%)、非外科的治療(H. pylori除菌、化学療法、放射線照射) 102例(22%)、両者の組み合わせ 124例(27%)、無治療 10例(2%)であった。1992年以前に90%以上を占めていた外科切除例は、1993年以降減少し非外科的治療の頻度が49%と増加していた。初回診断5年後の非再燃生存率および疾患特異的生存率は、各々67%および81%で、非外科的治療例と外科切除例とで予後に差は認められなかった。多変量解析では、病期、年齢、原発臓器(胃限局 vs 腸管浸潤)、T/B表現型、B徴候、MALTリンパ腫成分の有無が独立した予後規定因子であった。 【結論】消化管原発悪性リンパ腫では、従来より報告されている病期などの予後因子に加え、胃原発例およびMALTリンパ腫成分の存在が、重要な予後良好因子である。非外科的治療は、消化管悪性リンパ腫に対する至適治療法の一つと考えられる。 |
索引用語 |
悪性リンパ腫, MALT |