セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 293:自己免疫性肝炎に発症した肝細胞癌の一例 |
演者 | 田宮 芳孝(大牟田市立総合病院 内科) |
共同演者 | 坂田 研二(大牟田市立総合病院 内科), 松尾 健(大牟田市立総合病院 内科), 柳本 親利(大牟田市立総合病院 内科), 加治 亮平(大牟田市立総合病院 内科), 竹田津 英稔(大牟田市立総合病院 内科), 渡邉 雅秀(大牟田市立総合病院 内科), 小野 崇典(大牟田市立総合病院 外科), 荒川 正博(大牟田市立総合病院 内科DELIMITER大牟田市立総合病院 病理), 久保 保彦(大牟田市立総合病院 内科), 佐田 通夫(久留米大学 医学部 第2内科) |
抄録 | 自己免疫性肝炎 (以下 AIH ) において肝細胞癌 ( 以下HCC ) の発生はウイルス性肝炎などと比較し極めて稀であるが、長期観察例の増加によりその報告が増えている。今回、我々はAIHに発症したHCC 切除例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。症例は65歳男性。15年前に AIH の診断。以後 PSL の投与にて肝炎は鎮静化を示していた。1999年10月に肝炎急性憎悪をきたし、当院にて精査加療をおこなった。HBS-Ag (-)、HBc-Ab (-)、 HCV-Ab (-)、 抗核抗体 80倍(speckled type )、抗ミトコンドリア抗体 20倍、 抗平滑筋抗体 80倍、 抗LKM-1抗体 (-)、 Ig-G 3670 mg/dl、肝生検所見においてもAIH に矛盾しない所見であった。PSL40 mg に増量し、次第に肝炎症状改善を認め、PSL15 mg にて外来加療中であった。2002年5月腫瘍マーカーの上昇 ( AFP 40.7 ng/ml, L3分画 0.5%, PIVKA-II 115 mAU/ml) と腹部エコーにて肝S6 に24×23 mmの腫瘍性病変 を認めた。同部位はCT、MRI、Angio上HCC を示唆する所見であり、腫瘍生検組織にて、高中分化型肝細胞癌の確定診断を得た。Child A、ICG15 19.8%と肝予備能は比較的良好であり、外科的にS6部分切除を行った。AIH を背景としたHCCの発現機序として、肝硬変やステロイド長期投与による免疫抑制の関与が示唆されるが、明確ではない。今後更なる検討が必要であるとともに、AIH においてもHCCの合併を念頭におき、腫瘍マーカー、各種画像検査を行うことが重要であると考えられた。 |
索引用語 | 自己免疫性肝炎, 肝細胞癌 |