セッション情報 一般演題

タイトル 112:

薬剤性肝障害(重症型)が疑われた伝染性単核球症の1例

演者 松本 幸二郎(長崎大学 医学部 第一内科)
共同演者 佐伯 哲(長崎大学 医学部 第一内科), 柳 謙二(長崎大学 医学部 第一内科), 西村 大介(長崎大学 医学部 第一内科), 濱田 久之(長崎大学 医学部 第一内科), 大畑 一幸(長崎大学 医学部 第一内科), 中川 祐一(長崎大学 医学部 第一内科), 重野 賢也(長崎大学 医学部 第一内科), 阿比留 正剛(長崎大学 医学部 第一内科), 市川 辰樹(長崎大学 医学部 第一内科), 石川 博基(長崎大学 医学部 第一内科), 浜崎 圭輔(長崎大学 医学部 第一内科), 中尾 一彦(長崎大学 保健管理センター), 江口 勝美(長崎大学 医学部 第一内科)
抄録 症例は16才、女性。H14/7/1より37度前後の発熱を認め、7/6近医を受診。扁桃腺腫大を指摘され、CFPN-PI(100)3T3×が処方された。この日の血算、肝機能検査は正常であった。その後39~40度の高熱が出現し、7/9にK病院入院。入院時AST641IU/L、ALT656IU/Lと肝機能異常が認められたが、肝炎ウイルスマ-カ-は陰性であった。MEPM、CPDX-PR等の抗生剤および解熱剤としてloxoprofenが投与された。7/18より全身に発赤疹が出現し、また肝機能はPT44.7%、T.Bil13.9mg/dlと増悪傾向を示したため、7/22精査加療目的に当科紹介入院となった。入院時の理学的所見では発熱、両眼瞼浮腫、扁桃腺炎、頚部リンパ節腫脹、発赤疹、肝脾腫が認められた。EBV関連抗体検査においてVCAIgM抗体(+)、VCAIgG抗体(+)、EA抗体(+)、EBNA抗体(-)の所見がみられたことからEBV初感染による伝染性単核球症と診断した。一方、発赤疹、肝機能異常に関しては、臨床経過および薬剤リンパ球刺激試験においてCPDX-PR、loxoprofenが陽性であったことから薬剤の関与が示唆された。補液のみで経過を観察したところ、症状、肝機能異常は徐々に改善し7/31退院となった。通常、EBV初感染の場合の肝機能異常は軽症であり、高度の黄疸を伴うものは5%以下と言われている。本症例において重症型肝障害に薬剤が関与したと思われたので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 伝染性単核球症, 薬剤性肝障害