セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 173:潰瘍性大腸炎に合併した脳静脈洞血栓症の一例 |
演者 | 村田 静香(宮崎医科大学 医学部 第一内科) |
共同演者 | 山家 純一(宮崎医科大学 医学部 第一内科), 押川 勝太郎(宮崎医科大学 医学部 第一内科), 大塚 正晃(宮崎医科大学 医学部 第一内科), 石川 直人(宮崎医科大学 医学部 第一内科), 稲津 東彦(宮崎医科大学 医学部 第一内科), 江藤 胤尚(宮崎医科大学 医学部 第一内科) |
抄録 | [目的]潰瘍性大腸炎の腸管外合併症として全身の動静脈血栓症、塞栓症はよく知られている。しかし、脳静脈洞血栓症は稀で、極めて重篤な合併症とされる。今回、脳静脈洞血栓症を合併した潰瘍性大腸炎の一例を経験したので報告する。[症例]症例は18歳男性、主訴は腹痛、血性下痢、発熱。現病歴は2000年8月に血性下痢、腹痛を主訴に全大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断された。2002年5月、prednisolone(PSL)12.5mg/day減量時に再燃し、当科へ入院した。入院時、激しい腹痛及び一日約20行の血性下痢便を認め、重症例であった。PSL強力静注療法、白血球除去療法を併用するも、症状の改善を認めず、シクロスポリン持続静注療法を施行した。早期にCRPは低下し、顕血便は消失した。腹部症状は改善したが、シクロスポリン投与10日目より頭痛と嘔気が生じた。緊急頭部CTで右横静脈洞から上矢状静脈洞に高吸収域を認め、頭部MRIにて脳静脈洞血栓症と診断した。治療は、ヘパリン15,000単位を持続静注投与し、APTT50sec前後を目標に漸増した。ヘパリン投与2日目より症状は改善し、発症から1ヶ月後に、ワーファリンに変更し、TT15%前後でコントロールされた。症状出現時、頭部MRIでは血栓による閉塞のため上矢状静脈洞が描出されなかったが、加療1ヶ月後には大部分が描出された。[考察]本邦での脳静脈洞血栓症を合併した潰瘍性大腸炎の報告例は6例のみであった。血栓症に対しては、抗凝固療法を施行しない症例が多かったが、本症例では、ヘパリン持続静注療法が血栓症に対して有効であった。また、脳静脈洞血栓症の診断や経過観察に頭部MRIが有用であった。[結語]脳静脈洞血栓症を合併した重症難治性潰瘍性大腸炎の一例を経験したので報告した。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, 脳静脈洞血栓症 |