セッション情報 一般演題

タイトル 15:

形成過程の観察ができた重複幽門輪の1例

演者 矢野 貴文(鹿児島大学 医学部 第2内科)
共同演者 川畑 英嗣(鹿児島大学 医学部 第2内科), 岡江 耕二郎(鹿児島大学 医学部 第2内科), 今給黎 和幸(鹿児島大学 医学部 第2内科), 窪薗 理子(鹿児島大学 医学部 第2内科), 小斎平 智久(鹿児島大学 医学部 第2内科), 赤崎 安宣(鹿児島大学 医学部 第2内科), 嘉川 潤一(鹿児島大学 医学部 第2内科), 中塩 一昭(鹿児島大学 医学部 第2内科), 松元 淳(鹿児島大学 医学部 第2内科), 有馬 暉勝(鹿児島大学 医学部 第2内科), 上園 春仁(春陽会中央病院)
抄録 重複幽門輪は先天性あるいは後天性に幽門以外に胃と十二指腸の交通を見る形態異常である。今回我々は、胃潰瘍の経過観察中に形成された重複幽門輪の1例を経験した。症例は、88歳男性。腰部脊柱管狭窄症と診断され、非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェンナトリウム)による内服治療を受けていた。胃潰瘍、十二指腸潰瘍瘢痕で、H13年12月からH14年2月までPPI(オメプラゾール)を内服していたが、以後自己中断していた。H14年4月心窩部痛、黒色便を主訴に受診。上部消化管内視鏡検査にて、胃幽門輪小弯前壁よりに深掘れ状のA1 stageの潰瘍と、十二指腸球部前壁側にも同様の深掘れ状のA1 stageの潰瘍を認めた。十二指腸潰瘍観察中に、潰瘍面より、胃内からと思われる洗浄水と空気の漏出が見られ、内瘻化していることが考えられた。X線透視上、穿孔は認められなかった。血中H. pylori抗体価及び迅速ウレアーゼ試験が陽性であったため、H. pylori除菌療法を施行。以後、PPI(ランソプラゾール)内服治療を継続した。その後の上部消化管内視鏡検査では、重複幽門輪の形成が認められた。既往歴の胃潰瘍は、今回の胃潰瘍と同部位であり、十二指腸潰瘍は当初瘢痕を認めるのみであった。胃潰瘍先行と思われる重複幽門輪の形成過程を観察し得た1例と考え報告する。
索引用語 重複幽門輪, 胃潰瘍