セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 245:15ヶ月間の経過観察で腫瘍化を確認し得た十二指腸Brunner腺過形成の1例 |
演者 | 中橋 栄太(熊本赤十字病院 消化器科) |
共同演者 | 福田 精二(熊本赤十字病院 病理科), 一二三 倫郎(熊本赤十字病院 消化器科), 川口 哲(熊本赤十字病院 消化器科), 北田 英喜(熊本赤十字病院 消化器科), 竹熊 与志(熊本赤十字病院 消化器科), 樋口 大介(熊本赤十字病院 消化器科), 山根 隆明(熊本赤十字病院 外科), 平田 稔彦(熊本赤十字病院 外科), 西東 龍一(熊本赤十字病院 放射線科), 緒方 宏行(おがた胃腸科内科) |
抄録 | 【症例】60才男性.特に症状なく,上部消化管検診の二次精査目的で平成12年12月27日当院を受診した.翌平成13年1月4日,上部消化管内視鏡検査が行われ十二指腸下行脚の腸管膜対側に扁平隆起所見を認めた.形態はそらまめ状のやや緊満感のある隆起性腫瘤で表面は平滑,大きさは15mm大であった.腫瘤頂部に発赤を伴いやや陥凹所見を呈したが,粘膜下腫瘍様であり病変の主座は粘膜下にあると思われ,質的診断目的に超音波内視鏡検査,及び組織生検をおこなった.腫瘍の主体は第2,3層にあり,第3層よりやや低エコーレベルとして観察され腫瘤内に嚢胞状無エコー部を含有していた.鑑別として異所性胃粘膜が挙げられたが,病理学的には異型のないBrunner腺であり,Brunner腺過形成あるいは腺腫による粘膜下腫瘍と診断され経過観察となった.平成13年9月19日,2回目の内視鏡検査および組織検査が行われたが変化はみられなかった.続いて平成13年12月に3回目の内視鏡検査が行われた.3ヶ月前の検査と比しやや大きさを増し,腫瘍頂部の発赤はやや広がりを見せ一部びらん化し,陥凹部はやや目立ちはじめ腫瘍自体に堅さを感じる所見に変化していた.再度生検を行い粘液を有する胞体,腫大した核小体と核,一部融合した腺などの所見を呈し,癌が疑われた.腸管周囲リンパ節腫大と粘膜下に病巣の主座があると考えられたため,外科治療が選択され平成14年1月に十二指腸部分切除術が施行された.病巣は16×10mm,主体は粘膜下層のBrunner腺過形成であった.一部で被覆粘膜が消失してBrunner腺が内腔に露出し,粘膜下層の腺管から連続して粘膜内に侵入する像を認めた.これらの表層側にある腺管は異型を増し,周囲を圧排する所見などから腫瘍性の性格をもつと考えられた.【考察】表層の一部が腫瘍化したBrunner腺過形成の形態変化を,15ヶ月間経時的に観察し得た.表層性異型腺管を癌とは断定できないが,その初期病変の可能性があり,Brunner腺を母地とした癌を検討する上で貴重な症例と思われる.その免疫組織化学的検討と併せて報告する. |
索引用語 | ブルンネル腺過形成, 癌化 |