セッション情報 パネルディスカッション5(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)

肝拠点病院網と肝診療均てん化の現状課題

タイトル 肝PD5-7:

広島県における肝疾患診療連携拠点病院の役割と診療均てん化の課題

演者 高橋 祥一(広島大・消化器・代謝内科)
共同演者 河岡 友和(広島大・消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 【目的】広島県における肝疾患診療連携拠点病院(拠点病院)の役割と診療均てん化の状況について検討する.【方法】1)広島県の拠点病院である広島大学病院と福山市民病院の活動の総括2)IFN治療において,実際の病診連携を行う上での問題点について検討した.【成績】1)広島県では平成20年度に広島大学病院が拠点病院として認定され,患者支援のための肝疾患相談室を開設したが,初年度から千件を超える相談件数で翌年から県東部の福山市民病院を第2の拠点病院とした.しかしその後も相談件数は増え続け,平成22年度は2病院併せて2千件を超える相談件数であり,アドバイスを必要とする患者及びその家族はまだ多数存在する.医師,パラメディカル向けの研修会は拠点病院を中心に定期的に,医療圏毎に行っている.また患者向けの市民公開講座も行っているが,未だに県内推測HCV陽性者数19,000人のうち半数以上は未発見,未治療のままである.2)広島県での公費助成は肝臓専門医のみ申請可能なため,専門医による正しい治療方針の決定が行われているのは,本県のシステムの良い点であるが,一方で,かかりつけ医で肝庇護剤投与のままで治療が続けられる温床になっている可能性もある.C型肝炎に対する公費助成申請数は平成20年度が約1600件,平成21年度約800件,平成22年度が1月までで約800件であった.2010年から県内統一のIFN病診連携パスの使用が開始されたため,その活用状況を検討し,かかりつけ医の裾野を広げ,IFN治療を受ける機会が増えているかどうか,また診療機関による治療法の違いがないかどうかを検討する予定である. 【結論】肝疾患診療の均てん化を図るためには,1)県内専門医療機関の医療レベルの均てん化を図り,高い知識と医療レベルを持った専門医を増やすことと2)専門治療の必要性をよく知り,必要な時期に必要な治療を患者に提供(紹介)することのできるかかりつけ医を増やす,一次医療機関の均てん化の両方が必要である.
索引用語 肝疾患診療連携拠点病院, IFN