セッション情報 | シンポジウム1 |
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タイトル | S1-004:当院における肝細胞癌に対する内科的治療の現状について |
演者 | 久保 善嗣(社会保険小倉記念病院消化器科) |
共同演者 | 祐徳 浩紀(社会保険小倉記念病院消化器科), 平野 厚宜(社会保険小倉記念病院消化器科), 野口 隆義(社会保険小倉記念病院消化器科), 川嶋 正男(社会保険小倉記念病院消化器科), 前谷 昇(社会保険小倉記念病院消化器科), 小田原 満(社会保険小倉記念病院消化器科), 飯田 洋三(社会保険小倉記念病院消化器科) |
抄録 | 【背景・目的】本邦にラジオ波焼灼療法(以下RFA)が導入されて3年以上経過し、施行施設が増加しているが、肝細胞癌治療におけるその位置付けは各施設により様々である。われわれの施設では2000年2月よりRITA社のExpandable型を、また2001年1月よりRadionics社のCool-tip型RFAを用いて肝細胞癌の経皮的内科治療を行っている。今回、われわれの施設における肝細胞癌の内科的治療の現状とその治療成績、合併症発生率を提示し、経皮的ラジオ波焼灼療法(P-RFA)の肝癌治療における位置付けを改めて考察する。【対象・方法】当院では、最大腫瘍径2cm以下かつ単発の正常肝もしくは慢性肝炎症例、最大腫瘍径3cm以下かつ3個以下の肝硬変症例、外科的切除困難もしくは拒否例を一応のP-RFAの適応基準とし、慢性肝不全症例や重篤な他病合併例を除外基準としている。また3cm以上の肝癌に対しては可能な限りTAEもしくはchemolipiodolizationをP-RFAの1ヶ月以内に先行併用している。2000年2月より施行した肝細胞癌のP-RFA症例は202例(Expandable型28例、Cool-tip型174例)である。条件は必ずしも一定化し得ないが、当院におけるP-RFA施行症例につき同所性局所再発率、異所性再発率、短期生命予後、合併症発生率につき算出した。【成績】同所性局所再発率は、1年以内で3.6%、2年以内では4.8%、異所性再発率は、1年間で9.2%、2年間では19.3%であった。短期生命予後については、1年生存率97.5%、2年生存率94.1%を示した。なお、P-RFAの重篤な合併症発生率は全体として6例(3.0%)であり、その内訳は感染性胆管瘤2例、皮膚熱傷2例、血胸1例、肝梗塞1例で、死亡例や合併症後遺症例は経験していない。【結論】当院ではP-RFAを主軸とした肝細胞癌に対する内科的治療を行ってきたが、重篤な合併症の発生率が低い点を含めて、極めて良好な治療成績が得られている。しかしながら、施設によりP-RFAに対する積極性やその治療成績、安全性に大きく差がある事も事実で、普遍的にP-RFAが最優越した治療法であると結論するのは、現在のところ困難である。更なる治療経験の集積が必要と考える。 |
索引用語 | 肝癌, 治療 |