セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 34:PPI投与が潰瘍をともなう早期胃癌に対するEMRの術前診断(深達度診断)に有用であった1例 |
演者 | 東 喬太(井上病院) |
共同演者 | 井上 健一郎(井上病院), 吉見 公三郎(吉見内科消化器科), 早川 滉(朝永病院), 西山 高志(井上病院), 宮明 寿光(井上病院), 田添 聡(井上病院) |
抄録 | 症例は76歳女性。潰瘍性大腸炎のため、近医にて副腎皮質ホルモン(PSL 5mg)を投与されていた。2002年 7/10、GIFにて胃体中部小弯後壁よりにI+IIa型の腫瘍を認め、生検にて高分化型腺癌の診断を得たため、EMR施行目的にて当科紹介入院。8/1、GIF施行したところ、腫瘍は中央に陥凹(潰瘍)を伴うIIa+IIc型へと形態の変化を認め、同日施行したEUSではsm以深への浸潤が疑われた。22日前に施行された生検により、腫瘍の形態が修飾されている可能性が考えられたため、前医より投与されていたH2RA(nizatidine 300mg)よりPPI(lansoprazole 30mg)へ変更し、14日間の投与後、再度GIFを施行。潰瘍は治癒しており、腫瘍はほぼ当初の形態(I+IIa型)へと戻っていた。EUSにて、腫瘍は一部 sm浸潤が疑われるも、m主体の病変であると診断。8/22、non lifting sign(-)であったため、EMR(5分割切除)を施行。切除標本の病理診断にて、癌は mに限局しており、脈管侵襲(-)、垂直断端陰性であった。生検によると考えられた潰瘍をともなう早期胃癌に対するEMRの術前診断において、抗潰瘍薬(PPI)を投与することによって、肉眼的な深達度判定およびEUSの正確な深達度診断に有用であった、興味深い症例であったため、若干の文献的考察を加え、報告する。 |
索引用語 | 早期胃癌, PPI |