セッション情報 一般演題

タイトル 81:

巨大な小腸原発悪性gastrointestinal stromal tumorの一例

演者 吉村 壮平(九州大学 病態機能内科学)
共同演者 松本 主之(九州大学 病態機能内科学), 鳥巣 剛弘(九州大学 病態機能内科学), 矢田 親一朗(九州大学 病態機能内科学), 平橋 美奈子(九州大学 形態機能病理学), 八尾 隆史(九州大学 形態機能病理学), 綾部 俊一郎(国家公務員共済組合連合会千早病院), 許斐 裕之(九州大学 腫瘍外科学), 田中 雅夫(九州大学 腫瘍外科学), 飯田 三雄(九州大学 病態機能内科学)
抄録 症例は47歳男性.2001年の人間ドックにて便潜血陽性と腹部超音波(US)上副脾を指摘されていた.2002年7月15日,左下腹部の違和感が出現し,翌日には左下腹部痛を自覚したため,同日近医を受診した.US,腹部造影CTで左下腹部に腫瘤を認めたので, 7月18日に当科入院となった.入院時現症では左下腹部に圧痛を伴う弾性硬の腫瘤を触知したが,表在リンパ節は触知しなかった.血液生化学検査ではCRPと血沈の軽度上昇を認めたが,腫瘍マーカーの上昇はなかった.腹部USで左下腹部に境界明瞭かつ辺縁整な低エコー性腫瘤を認め,ドップラーUSでは血流が豊富であった.骨盤部MRIでは小腸に連続する長径14cmの分葉状を呈する腫瘤を認め,内部信号は不均一で嚢胞性変化も伴っていた.注腸X線検査にて骨盤内のS状結腸に管外性圧排を認めたが,小腸X線検査では骨盤腔内小腸が上方へ圧排され,回腸に瘻孔を認めた.以上の所見より血流豊富な巨大な回腸原発の腫瘍と診断し,腫瘍摘出術及び小腸部分切除術を施行した.腫瘍は管外性発育を呈し,捻転を伴っており,術中内視鏡では腫瘍付着部に回腸瘻孔開口部を認めた.肉眼的所見では腸間膜付着側の長径14cmの分葉状の被包化された腫瘍で,弾性硬であった.割面では白色調を呈し,散在性に壊死,変性を伴っていた. 病理組織学的には比較的核の大きな紡錘形の細胞が束状に増殖しており,強拡大像では核小体が目立ち,核分裂像は強拡大50視野中5個であった.免疫染色ではc-kit陽性,CD34陽性,αSMA陽性,HHF35陽性,s-100陰性で,悪性gastrointestinal stromal tumor, smooth muscle typeと診断した.
索引用語 GIST, 小腸腫瘍