セッション情報 一般演題

タイトル 20:

低蛋白血症、貧血をきたし、心血管系病変を合併した胃限局型若年性ポリポーシスの一癌化例

演者 梅野 淳嗣(九州大学 大学院 病態機能内科学)
共同演者 松本 主之(九州大学 大学院 病態機能内科学), 中村 昌太郎(九州大学 大学院 病態機能内科学), 江崎 幹宏(九州大学 大学院 病態機能内科学), 矢田 親一朗(九州大学 大学院 病態機能内科学), 志方 健太郎(九州大学 大学院 病態機能内科学), 望月 祐一(新日鐵八幡記念病院内科), 水元 一博(九州大学 大学院 腫瘍外科学), 甲斐 裕之(九州大学 大学院 腫瘍外科学), 田中 雅夫(九州大学 大学院 腫瘍外科学), 平橋 美奈子(九州大学 大学院 形態機能病理学), 八尾 隆史(九州大学 大学院 形態機能病理学), 飯田 三雄(九州大学 大学院 病態機能内科学)
抄録 症例は39歳、女性。28歳時より全身倦怠感が出現し、近医で鉄欠乏性貧血を指摘された。33歳時、多発性胃ポリープを指摘され内視鏡的ポリペクトミーを受けた。2002年4月(39歳)、近医にて施行された上部消化管内視鏡検査で胃内に密生するポリープを指摘され、精査目的で当科紹介入院となった。入院時、皮膚、口腔内粘膜、毛髪、爪に異常を認めなかったが、著明な低蛋白血症(TP4.8g/dl)と軽度の鉄欠乏性貧血(Hb10.9g/dl)を認め、α1-アンチトリプシンクリアランスは、98.5ml/dayと上昇していた。上部消化管X線検査では、胃体部大弯側を中心に大小不同の無数の隆起性病変を認め、soap bubble様の所見を呈していた。内視鏡検査では、これらの隆起性病変は発赤の強い有茎性、ないし亜有茎性のポリープで隆起表面には多量の粘液付着を伴っていた。確定診断のために内視鏡的切除したポリープは、病理組織学的に若年性ポリープに合致していた。以上の所見ならびに小腸、大腸に他病変を認めないことから、胃限局型若年性ポリポーシスと診断した。さらに全身検索で左肺に動静脈瘻と僧房弁閉鎖不全を認めた。保存的治療で低蛋白血症と貧血は改善せず、またポリープの癌化も否定できないことから腹腔鏡補助下胃全摘術を施行した。切除標本の病理組織学的検査では、若年性ポリポーシスに合致する所見が得られ、一部に粘膜内癌の合併を認めた。胃限局型若年性ポリポーシスは稀な疾患であるが、高率に癌を合併することが知られている。さらに本例では胃限局型であるにも関わらず心血管系病変を合併しており、興味深い症例と考えられたので報告する。
索引用語 若年性ポリープ, 心血管系合併症